2007年05月12日 鈴木利男氏と会食、ムラタチューン訪問

走行距離 34,005km

金曜日に神宮球場でヤクルト阪神戦を見に行って、7回表に「さあジェット風船飛ばすぞ」と思っていたら携帯電話に着信。
ベストカー編集部の小野さんから電話頂戴しているのだが、六甲おろしの大合唱の中、あまりのうるささに内容も途切れ途切れにしか聞こえない。
とりあえず分かったのは、翌日7時過ぎからどなたかと一緒に鰻を食べて、ポルシェのメカニックの方とお会いするので一緒にどうですか、というお誘いをいただいたこと。家人の了承を得てからご連絡します、と言ってとりあえず会話は終了。

そして、土曜日になって参加したいとの旨を小野さんに連絡し、「あのー。昨日はあまりに周りがうるさくて、どなたがいらっしゃるのか聞き取れなかったのですが…。」と恥を忍んで伺うと、「鈴木利男さんですよ!」とのこと。

鈴木利男さんといえば。日産のモータースポーツ黎明期から活躍、数年にわたるルマン参戦、92年のデイトナ24時間では星野・長谷見氏と組んで優勝、93年F1スポット参戦、95年F3000シリーズチャンピオンなど、輝かしい実績を持つ、レーシングドライバー。
例えば日産の先代スカイラインのHPでも、鈴木氏がレーシングドライバーの視点からインプレッションを述べていらっしゃる動画が見られる。

7時半に小野さんがぜひ行ってみたいという、駒形橋西詰の鰻屋、「前川」に集合。私は993ではなく、Brutale910Rで出動。初めてお会いする鈴木利男さんは、極めて腰が低くて控えめな方。でも小野さんの話をまぜっかえしたりしているのを拝見すると、ユーモアのセンスも抜群で。いつも私が付き合っている、私の属する業界の人たちは、初対面でも前に前に出てくる人が多いのだが、久し振りにどっしり構える方にお会いした気がする。
鰻を食べながら、鈴木氏が今度国立にオープンされる、次期GT-R、フェラーリ、ポルシェ専門のファクトリーの話を伺う。
これもお人柄だが、「儲けなくてもいい、どうせ儲からないんだから」「知らない人のクルマはあまりいじりたくないんだよねー。」「だから広告とか、HPとか作らないで、口コミや紹介だけでやりたいんだよね」とのこと。
しかし、クルマにセンサーをつけて、コースを走行した後のGの掛かり方などをデータロガーで確認し、アドバイスを行ったり、顧客の乗り方に見合ったサスペンションセッティングを提案したりするようなことをしてみたい、あるいはお客さんが自分の車の助手席に座り、鈴木氏がドライブして挙動をチェックし、どのようにカスタマイズしたいかを車内で(!)相談して決める、など長年開発に携わってきたレーシングドライバーならではのアイデアをお話されていた。

その後はポルシェ997ターボやコルベットZ06、BMW M6/M3の話、ニュルとLAでのテストの話、カージャーナリストと開発担当者/一般消費者との視点のずれについて、などなど極めて興味深い話がたくさんあったのだが、かなり本音のお話だったので、ここで書くことは差し控えておく。

その後、本所吾妻橋にあるポルシェ整備専門のムラタチューンに移動。代表の村田さんのお話を伺う。
こういう言い方はなんだが、ムラタチューンのHPを見るととても「今どき」な感じがして、人間臭さが伝わってこないのだが、実際に村田さんと話すと、ポルシェに対する想いがひしひしと伝わってくる。彼の北関東(もしくは福島?)訛りで静かに話される口調からは、金儲けのためにやっているというよりも好きでやっていらっしゃるというのが伝わってきた。
まだ新しいファクトリー。手前も奥も、993ターボ。ポーラーシルバーのものは、5万km走っているそうだが、本当に綺麗で新車同様。
初めて997GT3RSの実車を拝見。Fiscoなどを走られている、バリバリのレーシングユースらしい。
その証拠に、交換したブレーキディスクは、この通り。ドリルドローターの穴の部分に、おたまじゃくしのようにヒビが入っている。このまま走っていると、ディスクがいきなり割れて、クルマ全損のリスクがあるという恐ろしい状態。
しかし鈴木氏いわく、「カックンブレーキだとこうなっちゃうけど、うまくリアにもブレーキングパワーを分散させればフロントだけこんなにはならないよ、うまく100%ブレーキングフォースを引き出さないと」とのこと。セッティングの問題なのだろうか。素人の私には分からず。

ポルシェのシンクロについての談義に花が咲く。正面は鈴木氏。シンクロやギア一枚の値段が結構お高いことについてや、耐久性についての話で盛り上がる。シンクロ・ギア周りは964が一番丈夫だ、と村田氏。993以降はコストカットが行われているので、若干やられやすいとのこと。

996のGT3がミッション交換作業中。3速が抜けてしまうのだが、やはりこれも直近のポルシェのコストカットによって部品の耐久性が落ちてしまっているためではないか、とのこと。
ムラタチューンの工場内は、まだ新しいせいもあるがとても綺麗に整理されていて安心感がある。雑然とした工場、廃油処理も適当、なんてショップにはあまり自分の車を預けたいとは思わないのだが、ここは村田さんのお人柄もあって安心できる気がした。
私の993も6月に車検を迎える。これまではずっとディーラー整備だったのだが、同じくディーラーで整備してきた小野さんとお話していて、不必要に部品を交換されて高い請求が来るケースが多いのではないか、とお互いに思い至った。
今度村田さんにご相談した上で、お任せするかどうしようか決めることに。
その後も、鈴木・小野・村田氏のお話をファミレスで興味深く伺うことができて、極めてためになる一日だった。



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