紺ガエル日記 2006年3月4日 サスペンション交換

走行距離 30,171km

愛車がサスペンションの交換から帰ってきた。久しぶりの対面である。
感想を述べる前に、ちょっとわき道にそれる。土曜午前中のポルシェセンター目黒はかなり込み合っていてびっくり。流石最高益を更新しているだけある。お世話になっている営業の小塚さんと立ち話。氏いわく、ポルシェジャパンに入ってくる車の数は年間3100台と決まっていて、ケイマンは540台程度しか入ってこないらしい。それを43のポルシェ販売店で売るのだから、どうしてもバックオーダーが積み上がってしまうし、営業としては売りたくてもなかなか納車できずつらいとのこと。ケイマンを本国にオーダーすると、その代わりに何か減らさざるを得ず、犠牲になったのはキャラがかぶっているボクスターSだったそうだ。お陰で皮肉なことにボクスターSは今年分完売とのこと。何とも因果な商売である。

では50万円分の価値があったかどうか。というか、50万円も払って何も変わらないと納得いかないので、何とかしていい方向に変化したところを探し出してしまうのが人間の性なので、少々のバイアスが掛かっていることをご認識いただきたい。ジャガーを買った後に自分の選択が間違い出なかったことを確認するために、買った後にもかかわらず一生懸命インプレッション記事を探し出してしまうような小市民な私だと自分で分かっているので。

前置きが長くなったが、結論から言うと圧倒的に改善。感覚的にいうと、あたかもハンドルの取付け剛性が格段に向上し、ステアリングのサイズが二周り小さくなったかのような感触。つまりシャープに、クイックになった。また、センターへの回帰性が驚くほど良くなった。今までは割と意識してステアリングを戻す必要があったのだが、コーナリングしてから、ステアリングが極めて自然にセンターに戻るのだ。おそらく、ブッシュが経年劣化していたために、ジオメトリ変化に伴うブッシュの変形度合いが大きすぎたあるいは一定していなかった結果として、センタリング性能に欠け、剛性不足に感じられていたのではないかと理解している。また、ブッシュを初めとするサスペンションパーツが劣化した状態では、最適なアライメント調整を行ってもその再現性は低かったはずなので、アライメント調整の効果が出なかったときは思い切ってサスペンション交換に踏み切るのも一つの考えかもしれない。

大黒PAのアプローチや横浜青葉ICのタイトなコーナーを結構な勢いで踏んでいったときに思ったのだが、コーナリング時の懐が深くなった感じがする。これまた極めて感覚的で論理的でない感想だというのは十分承知しているが、まずロール量が減少したことと、ロールしていく際の感覚がリニアになっている、すなわち一定のロール量を超えると抵抗が減少していくのではなく、遠心力のかかり具合とロールの量が一次関数的である感じを受けた。以前アライメント調整を行ったときとは圧倒的に違う変わりっぷりである。
さらに、挙動変化がマイルドになった。シフトアップする際に一度アクセルを戻したときのピッチングが明らかに少なくなった。やはりRRで荷重が重いので、リアダンパーへの負担が大きかったのだろう。

改善されない点は、ハーシュネスの強さ。一発で突き上げのショックは収束するようになったが、やはり19インチのホイールから来る乗り心地の硬さは相変わらず。以前都内でマンホールをよけながら運転していたら、自分で運転しているのに気持ち悪くなってしまったことが思い出される。
993カレラ4に乗られた後993ターボに乗り換えられたベストカーの小野さんとお話していたら、18インチにインチダウンすると最高の乗り味になるという話を伺った。カレラ4のサスペンションは絶品だったという。だがターボボディとターボホイールが好きでカレラ4Sを買った手前、ちょっとためらってしまう。
交換前には冷間時に段差を超えるときギゴッと精神衛生上悪い音が時々起こっていたが、交換後異音は当然なくなったのでほっとした。これでまた違うところが悪かったら恐ろしい出費である。 総費用は金505,609円也。詳細はこちら。車もついに今年の6月で満十歳を迎える。次の10年を乗り続けるために、多少の出費には目をつぶっていくことにする。吉田匠さんのように、長くポルシェを愛し続けたいものだ。(その前に安全運転しなければ。)



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