紺ガエル日記 2005年4月16日 長瀞で観桜

走行距離 28,057km

東京では桜は散ってしまったが、北上すると満開の桜を目にすることができる。当たり前のことだが、なんとなくタイムマシンに乗るような、時間の経過を逆回しにできるような、不思議な感じがする。
日本桜100選のHPをチェックし、長瀞では今が満開だと確認して、愛車を久しぶりにガレージから引っ張り出して山手通りを北上、関越道にて花園インターを目指した。普段は意識しないが、「花園」インターというのは、何ともいい響きではないか。
但し渋滞表示ではインター出口が渋滞している、ということだったので、一つ手前に新設されたと思しき嵐山小川インターで降りて、北上することにした。
正直あまり埼玉の地理には詳しくないので、適当に長瀞に向かう。県道11号線を走り、なんとなく峠につながっているだろうな、と思った所を右折すると、うまい具合に本格的に中低速コーナーが連続するいい感じの道を発見。県道361号線。彩の国ふれあい牧場こと秩父高原牧場に続いている交通量の少ない道で、タイトで高低差が大きなコーナーが特徴。ポルシェよりもロードスターなどのほうが走りやすそうだ。山道を上がっていくと、色とりどりの花が咲いている上にソメイヨシノは満開。今日は桜見物が目的のため、あまりガスペダルを踏み込むことなく走り、愛車の写真を撮った。この写真をとった場所は、牧場のすぐ隣で、道端に車を寄せている私に向かって大きなホルスタインが胡散臭そうな視線を向けてくれた。
そこまで来る間に、狭くてツイスティな道にもかかわらず一台の車がずっとドリフトをし続けてついた跡としか思えないタイヤ痕があったので、妙に感心した。すると、どこからともなく物凄い轟音が聞こえてきた。まるでサーキットで聞くような音で、それも数台ではなくかなりの数の車から吐き出されるエクゾーストノート。何だ何だと思っているうちに30台近いスーパーセブンの集団と遭遇。ひらり、ひらりとコーナーをかわして行く姿を見送った。こんな季節だと、本当に屋根のない車がうらやましい。


山の中の桜は特に美しい。都会だと同時に多くの種類の花が咲いているのを見ることは難しいが、秩父路ではソメイヨシノの桜色、ヤマツツジのショッキングピンク、名は知らないがはっきりとした黄色の花、紫色の芝桜など、様々な色が眼前に広がる。木々の緑も柔らかい色で、鮮やかな山の花の色がよく映えた。

かなり狭い道を通って長瀞中心部に向かう。途中、ちょっと車が渋滞しているところがあったので、中心部から離れた法善寺という枝垂桜で有名なお寺に車を止めた。枝垂桜以外にも八重桜やヤマツツジなど、いろんな種類の花が出迎えてくれた。
HPには満開とあったが、長瀞の桜並木は、ちょうど散り初め。柔らかい風が吹いていて、たくさんの花びらが目の前で踊っていた。満開のときは本当に見事なのだろうと思う。桜吹雪の中を2kmほど歩いて、長瀞の駅に向かうと文字通り黒山の人だかり状態になっていて、何かというとまさにSLが駅に到着するところだった。満開の桜と、蒸気機関車のコントラストは、鉄道ファン以外の人をもひきつけずにはいられないようだ。子供の頃は鉄道ファンだったが、すっかり興味を失って久しい。しかしさすがに目の前にSLが煙を上げていると、じっと見入ってしまった。家に帰ってHPで検索してみると、SLは一日一往復しか走っていないようなので、極めてラッキーだったことが分かった。
今回は事前にあまり調べなかったので、適当に駅前の観光客相手の手打ち蕎麦屋で十割蕎麦ととろろ蕎麦を食べた。やはり地の山芋で作るととろろもうまい。
その後大鳥居を抜けて宝登山神社に参詣し、ロープウェイに乗って宝登山山頂まで行ってみた。帰りはそのままロープウェイに乗って戻ってもよかったのだが、気持ちがいい天気だったので歩いて下り、ここでもまた違った山桜を見ることができた。ロープウェイに乗るまでの駐車場の横のソメイヨシノの並木が満開で美しかった。また、山頂から向かいの山々がピンク色に染まっているのを見ることができて、近くで見るのとまた違った感動があった。

その後、岩畳から川下りの船に乗った。昔から川下りの船に乗るのが好きだ。水量があまりなかったため、スリリングではなかったが、船頭さんから「長瀞の瀞という感じは静かな水と書きます」といわれて、納得。書きなれた漢字ではないために頭が回らなかったが、By definition スリリングなはずがないということらしい。川下りの終点から駅に戻るバスを途中下車させて貰って、法善寺に戻り、渋滞に捕まるのが嫌だったので、午後3時過ぎに長瀞を出発。帰りは往路途中で右折してしまった県道11号線の先、「頭文字D」にも登場している定峰峠を通って帰ることにした。2速で思いっきり踏んでいける峠を想像していたのだが、車がすれ違うのがやっとの細い道の上、ハイキング大会に参加している多数のハイカーが道を歩いているためにゆっくり走らざるを得なかった。それでも山を様々な色の花が彩っていたので、イライラすることもなく家路についた。

来年は満開のときの早朝に訪れたいものだ。朝の美しい光線を浴びた満開の桜を、独り占めできれば最高だろう。

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