紺ガエル日記 2004年2月7日 バッテリ交換とカーナビ故障

走行距離 23,985km

お屠蘇気分が全く抜けきっていない1月4日のこと。その日は天気も良く、朝からゴルフに出かけるのにアルファ号ではなくて愛車1号で出かけようと思った。久しぶりの運転なので、カバーの埃を払うのに時間を費やし、丁寧に埃を払いのけた後に、さらに丁寧にカバーを畳んで、さて暖機をしようか、と思ったのだが…。なんと。エンジンがかからないのである。いわゆるバッテリー上がりというやつである。

点検簿を見ても、納車から一度もバッテリーを交換した記録がなく、以前から若干エンジンの掛かりが悪い時もあって、いつか交換しないと、と思っていたところだった。しかし、何故今日なのだ。暫く乗っていなかったのと、恐らく気温が低いこともあって、悪条件が重なったのだろう。

しかしおかしなもので、室内灯はつくし、計器類は点灯するのだが、イグニッションを捻っても何の音もしなくなってしまった。仕方がないのであきらめてアルファ号でアクアラインを越えて千葉の奥地へと急いだ。

アルファとポルシェをケーブルで繋いで充電してもいいのだが、いずれにせよバッテリーの寿命で交換しようと思っていたので、結局今度ポルシェセンターにアルファ号でバッテリーを取りに行き、持って帰ってきて自分で交換しようと考えた。どの程度難しいか、年初にもかかわらず開いていたポルシェセンター世田谷のサービスに電話して教えてもらった。すると、バッテリー交換自体はそんなに難しいものではないのだが、保管はドライの状態になっていて使う前に液を混合しなければならないため、前もって連絡してからでないといけない旨の説明をされた。購入しに行ったときに、実車で交換の手順を説明してくれるそうだ。そうすれば戸惑うこともないだろうとのことである。相変わらず親切で大変助かる。

ところで、バッテリーは1.重い 2.スパークプラグに火花を飛ばす大変重要な働きをするという意味で、交換すると走りに影響する。雑誌を見るとアーシングチューンについて書かれているが、基本的には車の通電をよくしてパフォーマンスを上げるということだと理解している。アーシングに金をかけるのであれば、そもそも高性能のバッテリーに交換するほうが手っ取り早そうな気もする。1.については、まず軽量なバッテリーが存在すると聞くし、また設置場所をどこにするかで重量バランスが変わり、結果として車の挙動が変わるという話も聞く。2.については、プラグコードを変えたりアーシングのチューンがあることから、交換すると車が速くなりそうな気がする。たぶん単純にディーラーで購入するよりも、少し自分で調べてからのほうがいいような気がしてきた。

バッテリーを自分で交換する予定でいたが、使用済みのバッテリーの処理が面倒くさそうで、何だか億劫になってきてしまった。自分で処理するわけにもいかないし、捨て子のようにガソリンスタンドに置き逃げするわけにもいかないのでディーラーに行って返して来なければいけないのは非常にめんどくさい。そこで、中目黒のイエローハットでジャンプケーブルを購入し、アルファ号のバッテリーから充電を行ったうえで自走してディーラーで交換して貰うことにした。処理はディーラーでお願いする算段である。

イエローハットでポルシェのバッテリーが売っていないか見てみたが、残念ながら在庫がなかった。しかし対応表を見ていていると、993のバッテリーは容量が一番大きい100Ahのものだった。ちなみに一番小さなバッテリーは36Ahなので、3倍弱の容量ということになる。価格は3万円弱、結構なお値段である。イエローハットでこの値段なのだったら、ディーラーで買ってもおそらく大した差はないものと思われた。この容量のバッテリーを充電できるケーブルも、それなりにしっかりしたものを購入せざるを得ず、3980円を払ってずっしりと重いケーブルを購入して帰宅した。
しかし下らない問題はいろいろ起こるもので、まず困ったことはポルシェ号のガレージは夜には電気がついて明るいのだが、日中は薄暗くて、手元が良く見えないということだった。いつもは作業を行うときは明るいところまで自走するのだが、事の次第からいって自走不能なので、懐中電灯を持ってきて薄暗い中ごそごそと作業をせざるを得なかった。

整備マニュアルを見てバッテリーの位置を確認したのだが、これがわかりにくい。というのも、バッテリーはトランクの中、内張りをめくったスペアタイヤの横にあるのだが(というかバンパーのすぐ後ろ)、トランクにはCDチェンジャーとカーナビのユニットが鎮座ましましていて内張りをめくるのが結構大変だったのだ。トランクの車の前側に内張りを止めてあるプラスチック製の部品が3つあるのだが、それに気づかなかったのでどうやって内張りをめくるかなかなかわからなかった。
ようやく内張りをめくって、懐中電灯でプラス極とマイナス極を間違えないためにまじまじと確認し、ポルシェ(被救援車)のプラス極をアルファ(救援車)のプラス極に繋ぎ、マイナス側も同様の順序で接続した。マイナス側を繋いだときに火花が散ったので若干びびってしまった。
おもむろにアルファ号のエンジンをかけ、2500回転程度のアイドリングを10分弱続けると、あっけないほど簡単にポルシェは息を吹き返した。さらに充電を行おうと、散らかしたトランクをきれいに片付け、表参道から246へ出て皇居を一周して帰ってきた。ほとんど1速と2速しか使わず、高めのエンジン回転数を保ちながら。実はこれが今年の初乗りであった。しかしエンストして、交差点でスタックしたらと思ったら、結構緊張した。幸いにしてエンストこかなかったので、次にまたエンジンがかかるのか若干不安が残りながらも一度自宅のガレージに戻った。

それからポルシェセンター世田谷に電話をして、電解液をバッテリーに注入して充電しておいてもらうように依頼した。およそ3時間後に準備ができるということだった。
ポルシェセンター世田谷に着くと、バッテリーはすでに準備ができていたので早速装着することになった。後学のために作業場で交換の手順を見せてもらうことにした。さすがに手際よく内張りを剥がし、バッテリーを固定しているボルトを外すために隣にあるスペアタイヤを外し、端子からケーブルを外すと、簡単にバッテリーは取り外しできた。端子はマイナスから外すように、と教えていただいた。
きわめてスムーズにバッテリー交換は終了。費用はバッテリー代15,100円、バッテリー電解液1,800円、工賃6,000円と消費税で24,045円だった。簡単な作業の割には工賃が高いように思われたが、廃バッテリー処理代が入っているのではないかと思う。
サービスの方にポルシェセキュリティーがやはりバッテリーを消耗するのかどうかを聞いてみた。答えは意外にもノーだった。セキュリティー自体は大してバッテリーを消費せず、逆に鍵をロックしていない状態のほうが通電量が多いそうだ。「たまに『セキュリティーでバッテリーが消耗するからロックしない』というお客様もいらっしゃるのですが、実は逆効果です」とおっしゃっていた。なるほど。

しかし本当のトラブルはこの後にやってきた。心なしか交換後はセキュリティーのランプも明るくなった気がするし、セルモーターも快調に動き、さあ家に帰るぞ、と思ってカーナビのスイッチを入れたのだが、電源を入れてもスイッチオンとオフをずっと繰り返す状態になってしまった。仕方がないので再びサービスに行き、カーナビの調子が悪くなった旨説明した。おそらく内張りをめくったときに配線の取り回しに不都合が生じたのだろう程度に思っていたのだが、待てども待てども直らない。置いてあったENGINEを2冊読破して、ようやく件のサービスの方がやってきて、以下のように告げた。「テレビは映るのですが、カーナビの本体は中のDVDも取り出せないし、なんらかの異常が起こったようです。もちろんカーナビのユニットを手荒に扱ったようなことはありませんが、何らかの故障が起きた可能性が高く、メーカーに見てもらわなければいけない状況です。」
ディーラーに辿り着くまではカーナビの調子は良かったのに、どうしてこんなことになるのだろうか。バッテリーを外した時は隣で見ていたので、作業をしてくれた方が手荒に扱ったわけではないのは見てわかった。元に戻したときは見ていなかったが、あの様子だとちゃんとやってくれたに違いないと思っている。バッテリー交換が直接故障の原因になったかどうかはわからないのだが、客観的事実としては交換までは具合よく動いており、交換後トラブルが発生した。仕方がないのでカーナビのユニットを取り外してもらってメーカーで見てもらうことにした。自分でバッテリー交換をして同じような症状になったとしたら、相当憂鬱になったところである。結局何故だかはわからないのだが、カーナビの修理を頼むこととなってしまった。

しかし、カーナビがなくても道に迷うことはないのだが、VICS情報で混雑の具合が見られないのは実に不便だ。あと、カーナビを使いすぎると野生の勘が落ちていくような気がする。昔は「大体この辺を曲がるとあの辺に出るんじゃないか」などと勘を働かせながら道を走ったものだが、カーナビが便利になりすぎたおかげで方向感覚もずいぶんと鈍ってきてしまっている。

そして1月も終わりになって、ポルシェセンター世田谷に愛車で出かけ、修理の終わったカーナビを取り付けて貰う事となった。サービスの方は大変恐縮されていて、何度も「ご迷惑をお掛けします」とおっしゃられるので、こちらが恐縮してしまった。カーナビ本体自体はフロントトランクの内張りにマジックテープで止められているだけなので、取り付け自体にはそれほど時間がかからなかった。あとは配線をするだけなのだが、これも差し込むだけなのですぐに終了。あっという間にカーナビ復活である。作業終了後に再びお詫びの言葉があり、修理の費用や故障の原因については特に報告がなく、「大変ご迷惑をお掛けしました。お待たせ致しました」と言って鍵を渡された。すなわち私に費用の負担は求められなかった。
「カーナビの故障の原因がバッテリ交換にあったように思われる、そして作業をしたのがディーラー」という状況証拠しかない状態で、どちらが費用を負担するかを全く議論せずに修理を行ってくれた。加えて今回のトラブルで何度もディーラーに足を運んだことに対して、また暫くカーナビを使えなかった不便に対して詫びられた。ポルシェセンター世田谷の今回の対応は、極めて誠意あるものだったと思う。念のためだが、私は直接ディーラーで車を買ったのではなく、中古でプレステージで購入したポルシェオーナーだ。今回は想定外のトラブルだが、雨降って地固まるというか、私の気持ちの中でポルシェセンター世田谷に対する信頼度はこれまで以上に大きく上がった。

今回学習したこと。
1.バッテリーの端子はマイナスから外す
2.交換に当たっては念のためカーナビの電源コードを外す
3.バッテリーは長くても3年が寿命
4.ポルシェセキュリティーがバッテリーを消耗させるというのは迷信
5.電装系のトラブルは費用がかかることが多いので、万一問題が発生したときを考えると高額なパーツをつけている場合はやはりディーラーでやってもらったほうが安全(カーナビの取り付けも同じことが言える)

←便利な本ですが、この本にはバッテリ交換は取り上げられていません。

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