走行距離 22,955km
ポルシェセンター世田谷からポルシェフェアの案内状が届いた。いつもは面倒くさがって行かないのだが、今回は会場が私の会社から歩いて数分だったということもあって、仕事が終わった後会社の同僚を数名引き連れて見に行くことにした。会社の連中も、案内状にカレラGTが見られると書いてあるよ、というと俄然やる気になり、総勢6名ほどで出掛けた。
会場に向かう道すがら、いかにも、という人たちとすれ違った。いかにも、というのはどういうのかというと、おしゃれなジャケットを着て少し堅気のサラリーマンには見えない、高そうな時計をして高そうな靴を履いている人たちが、ポルシェのノベルティ入り紙袋を下げている、というのを指す。某ホテルの地下二階の宴会場が会場だったのだが、近づくにつれてあまりの人の多さに圧倒されそうになった。普段のポルシェセンター世田谷でのイベント程度の人出を予想していたのだが、そうではなくて東京とその近郊のポルシェディーラーが主催しているものらしく、会場は熱気であふれていた。
馬鹿馬鹿しい今時の言い方を敢えてすると、「セレブ」度を高めるために仰々しい受付が出来ていて、そこで招待状を手渡すと911誕生40周年を記念した革製の写真立てがいただける、という演出だった。余談だが、招待状を持っていなくても、会社の同僚は名刺を渡してノベルティを戴いていた。熱気ムンムン(死語)の中、場内に入ると目の前に特別なブースが出来ていて、シルバーに光るカレラGTが煌々と鎮座ましましていた。(写真は借り物ですが。)
実物を見ると、フロントマスクはかなりモデナに似ている感じだった。写真のインテリアはブラックレザーだが、展示車はなんともいえない風合いのブラウンのレザー。感じはとても高級なソファー。なんと表現していいのか判らないが、スムースな染め方ではなく、わざとむら染めにしてある、喩えればBerlutiの茶色の靴の感じ。とても素敵だった。
付き添って説明してくださったポルシェセンター世田谷の小塚さんによると、カレラGTは本邦初公開で、東京モーターショーよりも早く我々に公開されたとのことだった。さらに、驚いたことに実車を見る前に既に25名の方がオーダーを入れられているとのこと。小塚氏はなんと日本で最初のオーダーをとったとのことだった。流石日本で最もポルシェを売る男は違う。
カレラGTの運転席と助手席に結構脂っこいカップル(いい年した金満系のおじさんと奥さんというには妙に若い女性の組み合わせ)が座っていて、聞くところによると実車に座れるのは購入した人のみとのこと。それも、金沢、名古屋など全国からこのイベントのためだけに来ているらしい。妙に着飾った人たちが多いのもなるほどうなずける。しかしどう見ても謎のカップルが多くてびっくりした。うーん。デートコースに組み込まれているのだろうか。車を見るのは楽しかったが、人間観察もかなり興味深かった。
そしてカレラGTの他にカイエンV6も見られた。実際に見たのはカイエンターボの横に並ぶ海外仕様のV6。海外仕様なので、日本では設定のない左ハンドルだった。プライシングは驚きの659万円(Tip) 。小塚さんが国民車(トゥアレグ)との違いを熱弁をふるって説明されていた。違いは、プラットフォームは一緒だがボディ剛性が圧倒的に違うこと、250psを絞り出すエンジンは、220psしかでないトゥアレグのエンジンとは全く別物であること、乗り味の高級感が全く違うこと、などだそうである。
その他、911の40周年記念車や、ターボカブリオレなどさまざまな車が見られて非常に興奮した。ターボのエクゾーストパイプの処理がかっこいいなあ、と思い、996のスタイリングも悪くないなあ、と思ったが、戴いたカタログの911の歴史のページに載っている愛しの993の写真を見ると、やはり空冷時代も捨てがたい、と浮気心を収めた。