紺ガエル日記 2003年1月18日 紺ガエルの弟分

走行距離 21,495km

暫く前から、奥さん用のセカンドカーをどうしようかという議論をしていたが、どうやら腰の重い奥さんも漸くその気になってきたらしい。 何がきっかけなのかは今ひとつよくわからないのだが、彼女の中ではAlfa147が一番いいかもしれないという結論が出たようだ。 聞いてみると、やはりマニュアルっぽく運転できるセレスピードが面白そうだと思った点、私が運転しても退屈しなさそうに 思えるという点、そしてデザインが気に入った点のようである。
Alfaのディーラーはいくつか知っているが、昔住んでいた場所から少し離れたところにあるディーラーに何となく親近感を 覚えていたので、年末にふらっと、箱崎の近くにある日本橋アレーゼに出掛けた。

Alfaは、昔の親分がイギリスにいた時に購入した何と右ハンドルの75のV6を、日本に持ち帰ったのに乗せて貰った事があるのと、黒の156セダンを日本で発売された少し後に購入したS氏に何度か乗せて貰った程度の経験しかない。

という訳で、じっくり実車を見る初めての機会だったのである。初めてお店に行ったのが昨年の12月の中旬だったが、その日は残念ながら 他の予定が入っていたために、ディーラーのショールームで眺め回しただけだった。しかし次の休み、やはり試乗をしてみたい と思って再び出掛けた。流石に僅かなうちに二回も訪れたということで、真剣に応対して貰えた。

具体的にどう真剣だったのかというと、

という感じであった。
整備工場が見たかったのは、色んなトラブルで入庫している車があるはずで、そこに行けばどのようなトラブルが どれくらいの車にどの程度の走行距離で発生しているのか、大体わかるはずだと考えたからであった。 また、実車だとオーナーの皆さんがさまざまにドレスアップや、カーナビ装着しているのを見ることが出来るし、 たとえばスポーツシート装着車が1万km走るとどの程度革がやられるのかを見たりすることも出来る。
そして、恐ろしい体験だが、奥さんの運転する車に日本で初めて乗った。休日の箱崎近辺なので、交通量は全く大したことがない。奥さんは、自転車より遅いスピードで箱崎の裏の路地をごろごろと運転した。一つ驚いたのだが、セレスピードはただの2ペダルのシステムなので、クリーピングというものはなくて、坂道ではブレーキを離すと後ろにずりずりと下がってしまうこと。クラッチミートの感覚が慣れるまで、駐車のためにほんの20cmだけ車を前に動かすことなどが出来るのか、とても不安になった。マニュアルだと自分で半クラッチで調整すればいいし、ATだとクリーピングを使えばいいのだが。アクセルを踏み込んで、少しするとクラッチミートするため、どれだけガスペダルを踏み込んでいいのか良くわからぬ。うちの奥さんが駐車のときに思いっきり加速させたりしなければいいが、ととても不安になる。
奥さんの運転で車線変更や合流があると、とっても緊張してしまうのは、いうまでもないだろう。


そして年が明け、再びディーラーを訪れてもう一度試乗させてもらうことにした。
今度は、私の運転で首都高での試乗である。

箱崎から都心環状線で浜崎橋に出て、レインボーブリッジをわたって湾岸線を走り、深川線を使って戻ってくるというルートだった。

当たり前だが、ポルシェよりも随分と着座位置が高い。ある意味快適でもある。ドアの閉まる音もどっしりとしていて、なかなか良い感じ。lートベルトを調整し、すわり心地の良いファブリックのシートの感触を確かめ、おもむろに走り出した。
現代の車なので、ポルシェと違って窓ガラスを操作するのもずっとボタンを押し続ける必要はないし、ステアリングにオーディオコントロールがついていたり、キーレスエントリーがあったりと、随分と文化的である(日本車に乗っている人には笑われてしまいそうだが。)
ツインスパークのエンジン音が室内に流れ込んでくるが、心地悪い響きではない。しかし、昔乗せてもらったことがある156ツインスパークのほうが、車内で聞くエンジン音にときめきがあったような気がする。
ブレーキのフィーリングはかなりスポンジー。箱崎から高速に乗ると、合流するまでに結構タイトなコーナーがいくつかあるのだが、何となくポルシェの感覚で突っ込んでいくと曲がりきれない感じのときが一度あって、ヒヤッとした。あるいはエンジン音がポルシェよりも運転席に響いてこないために、スピード感覚が若干ずれてしまっていたのかもしれない。まさか試乗車を大破させてしまうわけにいかないので、気を引き締めなおして運転を続けた。

セレスピードの出来であるが、シフトダウンするときはちゃんとブリッピングしてくれるので、非常に良い感じである。ビュン、と一度ふかしが入って、シフトダウンする。シフトアップは結構かったるい。クラッチミートが若干時間がかかるので、何となく気持ち悪いのだ。シフトショックは思ったほどは大きくなかった。

試乗車はまだ1000km程度しか走っていなかったので、少し気が引けたのだが、ツインスパークをレブリミットまで歌わせることにした。昼間の首都高なら、2速と3速を使い分けて走れる。エンジン回転数を一定以上に保って走ると、150馬力しかないエンジンだが元気よく車を前へ前へと引っ張っていく感じが気持ちよかった。

サスペンションは結構ロールが大きい。ポルシェの乗り心地と全く違う。ポルシェはほとんどといっていいぐらいロールしないので、コーナーでの恐怖心というのはあまり起こらないが、久々に大きくロールする車に乗ったので感覚がつかめなくて、結構びびってしまった。

試乗を十二分に満喫したので、ディーラーに戻ることにした。まだ真新しい試乗車を降りてみると、エンジンをぶん回したせいでオイルの焼ける匂いと、新車独特の匂いが混ざって変な感じだった。若干心が痛んだが、「この車はそういう運命の車だ」と自分に言い聞かせた。

運転してとても楽しかった。私の車ではないのだが。奥さんも隣に乗っていて満足していたようだし、私が気に入ったので安心していたようだった。

そして、我が家に2台目の車がやってくることとなったのであった。

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