走行距離 19,010km
ポルシェは何人乗りの車か。普通は2人というのが答えだろう。私は、以前どうしても先輩夫婦を乗せなければいけないことになり、芝浦のインターコンチネンタルホテルから東京駅までおよそ15分、私の車で4人乗車をしたことがある。恐らく、外から見たら滑稽な光景だっただろう。車高も、かなり下がっていたはずである。リアガラスの傾斜がきつい為に、後部座席では相当首を曲げないと、頭を何度もぶつけることになる。かなりつらい姿勢である。やはり、ポルシェは2人乗りの車なのだ。
そして、当たり前だがRRなので、トランクが前にある。簡単に想像できるだろうが、フロントボンネットの中にゴルフバッグは入らない。ゴルフが上達すれば、練習する必要が無いので宅急便でゴルフ場にバッグを早めに送れるのだが、私は今週に1度レッスンに通っている上、前日に練習に行くので、車にゴルフバックを積まなければいけなくなる。奥さんと一緒に行くと、2つも積まなければいけない。おそらく、ポルシェのショールームで購入を考えている中年男性のFAQの中で、「この車ってゴルフバッグはどうやって載せるのですか」というのは上位に位置するに違いない。
Ferrariは360を設計するに当たって、アメリカ市場での販売を考えて、座席の後ろにゴルフバッグを載せられるようにした。私が初めて360モデナのプロモーションビデオを見たときも、シューマッハがモデナに乗ってゴルフに行くシーンが登場した。F355から大きく違う点として、ゴルフバッグが載るということが強調されていたのである。
そう言えば、昔Z3に乗っていた頃は、後部座席も当然無い為に結構苦労をした。ただし、あの車は、ドライバーだけ抜けば、トランクにゴルフバッグを押し込むことが出来た。ドライバーは、トランクに別に斜めに入れれば、何とか納まった。ただし、うまく取らないと、まるで知恵の輪のように2度と抜け出せなくなってしまうことがあった。
ポルシェには、幸い後部座席がある。しかし、そこに2人分のゴルフバッグを載せるのは、容易なことではない。というのも、1.後部座席のスペースがあまり大きくない(車自体の全幅が短い)、2.シートが皮張りで、突起物がついているゴルフバッグをそのまま載せるとシートに修復不可能な傷がつく、という悪条件があるからである。
私のゴルフバッグは、アメリカ製で、担いで回れるように軽量に出来ているのだが、バッグを地面に置くとスタンドが2本出てくる仕掛けになっている。そのせいで、突起物が普通のバッグと比べて多い。奥さんのバッグは、極めて普通のバッグなのだが、底の部分がかなり固めのプラスチックで、ここにも突起がある。そのため、どちらのバッグも、そのまま入れるとシートに大きなダメージを与えることとなる。
その為に、私が編み出した方法は以下の通りである。
1.突起物の多い私のバッグを、トラベルカバーに入れて後部座席に積む
2.奥さんのゴルフバッグをその後に積むが、バッグの底をタオルで覆い、車内を傷つけない様にする
後部座席にゴルフバッグを2個積むには、コツを覚える必要がある。下手に積むと、バックミラーの視野が非常に狭くなる上、シートベルトがバッグに引っかかってスムーズに出てこず、万が一の際に危険なことになる可能性があるからである。
ようやくゴルフバッグを載せることが出来たとしても、まだ様々なことを考慮しなければならない。
まず、ありがちなのは、ゴルフ場のエントランスに車を止めたとたん、キャディーさんが車を取り囲み、リアのエンジンフードを開けようとしたりするのと戦わなければいけないことである。そんなに熱くてうるさいトランクなどある訳ないのだが、車に疎いキャディーさんだったりすると、一生懸命リアのエンジンフードを開けようとしたりするから恐ろしい。
あと、ドアを全開にしないとゴルフバッグを降ろすのに苦労する為、スペースがあるところに駐車する必要がある。
これまで書いてきたことは、少々の工夫と手間をかければ解決できる。これからポルシェの購入を考えている人は、安心して欲しい。ポルシェでゴルフに行くことには何の問題も無い。
しかし、サラリーマンである私にとって、最も大きな問題がある。それは、非常に根本的な問題なのだが、接待ゴルフにポルシェで行ってよいのか、ということである。どんなにバッグが簡単に積めたとしても、やはりTPOというものがあろう。若造の私が、お客様を差し置いてポルシェでゴルフ場に乗り付けるのは、かなり感じが悪いに違いない。特に、車好きのお客様が、たとえばBMWの3シリーズとかBenzのCLK320とかに乗ってきていらっしゃるのに、車を見せびらかしている場合でもあるまい。かといって、「わ」ナンバーの車でゴルフに出かけるというのも非常に不自然である。白いカローラのレンタカーで行く気も湧かない。
実は半月後の週末に、某大手生命保険会社の部長さまお二人と、昔の会社の上司だった現某外資系証券会社の営業部長と私、という組み合わせで、ゴルフに招待されているのだ。友達から車を借りてくるべきか、物凄く朝早く着き、丁寧にお見送りしてから帰るのか、悩ましいところである。