走行距離 18,760km
結局木曜日にハイランダーから電話を貰い、車の修理が完了したということなので、取りに行くことにした。
板金でないと直らず、前回書いたように残念ながら新車時の焼付け塗装が失われてしまって勿体無いと思っていたのだが、ハイランダー代表の田中氏曰く、「これは塗り物です」とのこと。前のオーナーあるいはこの車を購入したPrestigeでドアを塗っていたらしい。その証拠に、ドアハンドルの取っての下と、ドアの色が若干違ったという。結構ショックである。塗り物だったということがショックだったのもあるが、全く気がついていなかったということがもっともショックだった。購入時にポルシェ世田谷の小塚さんに見て貰った時にも、彼も気付かなかった。ということは、逆にいうとそれだけきっちり仕上げられていたということだから、あまり大騒ぎすることではないのかもしれない。
少しの間お世話になった318isに乗って、赤羽橋のハイランダーへと向かった。すでに私の車は準備が出来ていて、事務所の前に止められていた。
件の運転席側のドアは、完璧に治っていて、どこをぶつけられたのかは全く見た目には判らなかった。完璧な出来である。しかし、若干何かが違うとすると、窓ガラスとドアが接する部分のゴムパッキンの接着のところが、微妙にオリジナルと違う気がする。だが、ほとんどわからない範囲の違いである。中古車を買う場合には、そういったところまでしっかり見て判断した方が良いのかもしれない。あまりにも完璧に治っているため、事故車もこうやって再生されて売られているのではないか、と若干不安になった。ポルシェは曲線が多いので、上手な板金でないと上手く直らないけれど、最近の技術の進歩は恐ろしいので。
保険会社が用意した用紙にはんこを押して、あっけないほど簡単に手続きは終了した。書類の内容は、修理代金を支払うのと引き換えに裁判上、裁判外に問わず全ての請求の権利を放棄するというものだった。
興味があったので、田中さんに「もし私が反対に、人の車をこれと同じように凹ませた場合は、どれぐらいの費用がかかるのですか」と質問した。
すると、答えは「大体13万円ぐらいですかね」とのことだった。ただし、これは推測だが代車代は含まれていない。代車も恐らく1日1万円ぐらい取っているはずだから、10日借りて全て込みで23万円程度の金がかかる。だが、本当に代車を使ったのはそのうち2日ぐらいだったので、本来であればそんなに費用はかからなかったはずだ。
何が言いたいかというと、一度保険金が請求できることになったら、普通の人は「どうせ保険代が下りるのだから」と言って不必要に費用をかけるであろうことは想像に難くない、ということである。そうやって、不要な経費がかかり、その費用は我々保険契約者の保険金の上昇となって跳ね返ってくる。けれど、その影響は広く薄く負担されているので、全く実感が湧かない。たぶん修理工場側からしても、代車が使われずに置いてあるよりも、私が不必要かもしれないが代車を借りることによって、それなりのお金が儲かる仕組みになっているのだろう。まあ便利だったから代車があって良かったが。
なんだか後味はすっきりしないなあ、と思った。
そして愛車はピカピカになって帰って来た。何事も起こらなかったかのように。