走行距離 13,528km
前回も書いたように、5年間、13500km交換しなかったタイヤは既に限界を迎えていた。箱根のオフミーティングでも、Titanioさんに「これは…」と言われてしまった。さらに芦ノ湖スカイラインで怖い思いをしたこともあり、タイヤ交換と相成った。
ちなみにカレラ4Sのタイヤサイズは前225-40/18インチ、後285-30/18インチ(!!)である。
タイヤの銘柄について、いろいろと人に伺ったり雑誌で調べてみた。候補はミシュランパイロットとピレリP-Zero、それにブリヂストンのS-02である。
まず、自分はどんなタイヤを求めているのか考えてみた。ポイントは以下の通り。
ドライ性能
ウエット性能
耐磨耗性
静粛性
ポルシェ指定Nタイヤかどうか
価格
ドライ性能は当然重要。この前もお尻が滑って怖い思いをしたばかりである。グリップだけに頼る運転はしたくはないが、やはり限界は高いほうがいいのは言うまでもない。また、せっかくのポルシェのブレーキを生かすも殺すもタイヤ次第でもある。
ウエット性能は比較的私にとっては重要である。雨の日にはそれほど乗らないとはいえ、高速道路を走行中に突然の雨に降られた時にひやひやする思いはしたくない。太いタイヤを履いているのでハイドロプレーニング現象はとても恐ろしい。
耐磨耗性だが、ポルシェについてはオイルとタイヤをケチる人が乗るべきではないのではないかと思う。それも大事に乗りたいのであればなおさらである。両者とも良いものでないと、やはり設計上ポルシェという車は楽しめないのではないか。やはり構造上リアタイヤへの負担は相当大きいものがあるので、タイヤ交換を5000km伸ばして危険な目にあうよりも転ばぬ先の杖である(経験者談)。
Nタイヤかどうかは悩ましい。しかし私は最後の空冷ポルシェをオリジナルにできるだけ近い形で乗りたいと思っているので、やはりNタイヤのほうが良いであろう。
価格については、これは耐磨耗性とも関係してくるが、安いほうがいいに違いないがコストパフォーマンス重視ということであろうか。
まず、ミシュランは耐磨耗性が高い、すなわち経済性が高く、街乗りには最適との評判だった。ドライ、ウエット性能もまあまあで、非常に中庸なタイヤだとのこと。ただしNタイヤの設定はない。かつて、Z3に乗っていたときに純正装着だった。そのときはとても気に入っていた。価格は、ピレリに比べると若干高め。
P-Zeroはもともと装着されていたタイヤである。また、以前Z3に乗っていたころにもP-7000を使っていて、非常に気に入っていた。他のハイパフォーマンスカーに純正設定されていたりして、ブランドイメージも良い。ドライ性能はいいが、ウエットでは若干落ち、5000kmまでは非常にいいタイヤだがそこからの磨耗は加速度的とのこと。価格は、ポルシェで一番人気ということもありそこそこ。Nタイヤ設定あり。
S-02は、サーキットを走る人の間で評判が良かった。滑った後のコントロール性が非常に高いとのことである。ただし引っかかったのは、すでにS-03という次世代のタイヤが出ているにもかかわらず、Nタイヤの設定はS-02しかないことである。また、AQドーナツ仕様ということで、耐磨耗性もよいとのこと。値段的にはわずかにP-Zeroより高かった。
ディーラーで、ミシュランパイロットとピレリP-Zeroの見積もりを出してもらった。結論からいうと、「高すぎる」。タイヤのみの価格で、タイヤ専門店の値段のおよそ2倍である。工賃、アライメントを入れるとおよそ35万円コースだった。ディーラーでタイヤ交換するメリットは、アラインメント調整である。というのも、993は専用の機械がないとアラインメントの調整ができず、ショップではその機械はない。しかし当然のことながらアラインメントの調整のみお願いすることはできる。普通の整備についてはできるだけディーラーでやっていただこうと思っているのだが、タイヤの交換についてはディーラーで行わなければならない必要性は特にないと思った。
雑誌でいろいろ見てみたが、あまりタイヤの販売店の広告は雑誌に出ていない。数少ない広告の中で、成城タイヤとアウトバーンモーターの広告が目に付いた。成城タイヤは扱いはミシュランとピレリ、アウトバーンモーターはブリヂストンである。
ご存知かもしれないが、タイヤの小売というのは、定価はあってないようなものである。数量がはける店は、メーカーから奨励金のようなお金が出て、それを値引きの原資にすることができる仕組みになっていて、売れていない店と売れている店とでは同じタイヤでも全く値段が異なる仕組みになっている。よって、売れている店で購入するのが望ましいことは言うまでもない。
上述したようなポイントを考え、悩んだ結果、ピレリのP-Zeroを装着することにした。理由は、値段がリーズナブルで、もともと着いていたタイヤが新品だった状態を体験してみたかったこと、ウエット性能を大きく犠牲にせず、ドライ性能が高いことである。値段がこなれていることで磨耗の早さの一部は相殺されるとの考えもあった。
成城タイヤに問い合わせたら、前後4本、工賃、バランス、古タイヤ処理料、消費税込みで16万7千円だった。
ちなみにアウトバーンモーターで聞いたS-02のタイヤ、工賃、バランス、アライメント調整で20万円を超えてしまった。ただし、ディーラーでしかアライメント調整ができないと思っていたのだが、アウトバーンモーターではアライメント調整ができ、さらにタイヤ交換をしたお客さんには測定費無料、調整費半額(17500円)でやっていただけるとのことだった。アウトバーンモーターでピレリの扱いがあればタイヤ交換をお願いしていたところだったが、非常に悩ましかったが成城タイヤでタイヤ交換のみを行うことにした。
Titanioさんにメールで教えていただいたのだが、ミツワの目黒で格安にアライメント調整を行っているとのこと。電話で確認したら、11月中はキャンペーンで3万1千円でやっていただけるとのことだったので、タイヤ交換とは別にアライメントを調整することにした。やはり5年間もアライメント調整を行っていないので、今回ぜひやっておきたいと思った。ただし平日しかできず、時間がかかるとのことで、少なくとも1泊2日車を預けなければならず、さらに平日の営業時間が午後6時までとのことで、いつ持って行けるのか不安になった。
成城タイヤでは在庫があり、交換にかかる時間はおよそ30分程度とのことだったので、土曜日の朝に予約の電話を入れて一人いそいそと出かけた。
タイヤ交換作業を目の前で見るのは実は初めてだった。はっきり言って非常に感心した。デジカメを持っていって作業工程の写真をとらなかったことにものすごく後悔したほど感心した。タイヤが30cmほど浮く程度にリフトアップし、タイヤを外し、謎の機械にホイールごと載せると、機械を使ってホイールからタイヤをめくるように剥がす。謎の機械を画像で紹介できないのがとても残念だが、これが大変すばらしい出来で、タイヤの脱着が非常にスムースにいくのである。成城タイヤのスタッフの方も非常に手際よく、新しいタイヤがつけられたホイールのバランスをとっていく。多くのスタッフが働いていらっしゃるので、数人がかりで私の車の作業をやってくださったので、非常に短時間で作業が終了した。ブレーキ粉が飛んでいたホイールもきれいにしてくださり、タイヤの艶出しもやっていただいた。作業が的確かつ丁寧だったのに本当に感心した。
タイヤには窒素ガス充填をして頂いた。不活性ガスが中に入っていたほうが、ゴムの酸化が防げるのと、走行中タイヤが熱せられたときの体積変化が少なくて済むというメリットがあったと記憶している。
取り外されたリアタイヤを観察していたら、やはり中央部分の磨耗が進んでいてパターンがふにゃふにゃになっていた。偏磨耗は観察できなかったので大きくアライメントが狂っていることはなさそうだった。フロントの磨耗はそれほど進んでいなかったが、経年変化でグリップも落ちていることだし、後悔は特にない。私は一度もホイールを擦ったことはないのだが、購入時にフロントに一ヶ所だけ擦った形跡があり、縁石にヒットしたのだとするとアライメントが狂ってしまっているかもしれないと思いつつ乗っていたので、今度のアライメント調整が楽しみである。
成城タイヤの皆さん、本当にどうもありがとうございました。また、Titanioさん、貴重なアドバイスに感謝いたします。