走行距離 11,011km
金曜日は、とてもすがすがしい一日だった。こんな天気が週末も続けば、と仕事をしながら考えていた。
昼休みに、天気予報を調べた。週末もいい天気が続くという。そして、月曜日まで晴れたあと入梅するとのこと。
久々に、車で遠出をしよう、と思った。
温泉に入って、新緑の中をドライブして、きれいな空気を吸いながら歩く、というのが今回の目的である。
私一人ならば山登りをしてもいいのだが、愚妻も連れて行くとなるとハイキングまでである。
ということで、いろいろ考えた挙句、立山黒部を目指すことにした。
土曜の朝の中央道は思ったより空いていた。11時前に出かけて、12時半には勝沼で昼食を摂っていた。
勝沼のレストランといえば、「風」である。
勝沼インターを降りて、長野方向に行った信号二つ目を右折すると、すぐに目指すレストランはある。ワインで有名な勝沼だが、ここのレストランもワインと創作洋食の店である。中は天井が高く、まるで教会のようだ。
フランスワインと、日本のワインが詳しく説明されたワインメニューがあり、食べ物はローストビーフや創作洋食がメニューを飾っている。窓際は勝沼のブドウ畑を一望できる、すばらしい眺めである。駐車場には、東京からきた車が数多く並んでいる。
私は、「山彦」という数量限定のものをオーダーした。鴨肉が入ったピラフと肉と野菜の串揚げの盛り合わせである。雰囲気がいいのでつい中央道で遠出をしたときに立ち寄ってしまう。
私は空いている時の中央道は結構好きだ。高速コーナーが多く、さらに高速コーナーリング中に路面の段差があるのを慎重にこなしながらすっ飛ばすのは気持ちがいい。東名の山北あたりの高速コーナーが延々と続く感じである。不思議だったのが、BMWやDucattiなどの海外メーカーのバイクが、結構走っているということである。やつらは気合いが入っていて、こちらが限界の8-9割のスピードでコーナーに飛び込んでいくと、しっかりくっついてくるのである。走っていて、ほかの車が付いてくることはまったくなかったが、BMWのバイクとは小一時間ほど一緒に走った。多分、バイクで後ろから車を煽ってもなかなかどいて貰えないが、私が後ろから走っていくとみんな道を譲ってくれるので、その後ろをバイクで走るのはらくちんだったからではないだろうか。
勝沼から再び高速に乗り、一路諏訪を目指す。本日宿泊するのは穂高の北にある大町温泉だが、そこに行く前に霧が峰の近くの八島ヶ原湿原というところに立ち寄りたかったのだ。白樺湖まで走り、ビーナスラインを快適なスピードで走ると、湿原についた。
湿原を一周するのに、徒歩でおよそ一時間ほどかかった。一部では高山植物の花が見られたが、まだ若干早いという。あと二週間もすれば、花が咲き誇っているらしい。ぜんまいのような裸子植物が多く見られ、なんだか時間の流れに取り残されたエリアのように思えた。
われわれが湿原を見ている間、わが愛車はぽつねんと主人の帰りを待っていた。
4時ごろ湿原を出発し、大町の温泉には6時前に到着した。お世話になったのは、立山黒部アルペンルートの入り口にある「仁科の宿 松延」というお宿である。
夕食朝食とも部屋出しで、あまり大きな規模の旅館ではなく、お風呂と料理の評判が良いところ、という基準で、出発の前日にウェブで調べまくって見つけたのがこのお宿である。いくつかのHPにはおすすめの宿として名前が出ていた。
やはり、夕食は部屋出しであろう。温泉の一番いいのは、夕方ドライブに疲れた頃に到着し、チェックインして一通り説明を聞いた後、温泉に入りに出かけ、上がってきた頃には食事の料理ができているということである。さらに、地酒でも飲みながら食事を食べた後、いい気分で温泉に再び浸かりに行って帰ってくると、布団が敷いてあってもうねるだけ、というのも最高だし、朝ノックで起こされて朝風呂を浴びて帰ってくると朝食の準備ができている、というのもこたえられない。
結論からいうと、サービスも良く、料理も美味しくて、お湯も柔らかくていいお宿であった。お風呂はもう少し大きくてもいいかなあと思ったが、旅館の規模自体があまり大きくないのでまあ良しとしよう。
朝、目覚まし無しで6時半に目が覚めた。カーテンの隙間から外を見ると、見事に快晴である。静かに一人朝風呂を浴びに出かけた。早く出かけて立山まで行こうと思った。
山は真っ青でこんな感じであった。扇沢というところから関西電力のトロリーバス(バスなのにパンタグラフがついていて電気で走る)に乗り、黒部ダムへと向かう。
トロリーバスに20分弱ほど乗ると、黒部ダムに到着である。展望台方面とかかれた看板を見つけ、そっちに行こうと思って歩くと、階段を百段以上上るはめとなった。展望台からとった写真が以下のものである。
そしてケーブルカーとロープウェイを乗り継ぐと、五龍岳や鹿島槍が見えた。ロープウェイから見える景色は、下界で見える風景と違って緑ではなく、残雪の白さが目に染みるものだった。
そうしてもう一度トロリーバスに乗る。立山の山の中をくりぬいた道を走ると、日本海側に出てくる。室道という溶岩台地である。標高は2450m。東京から日本海側に出てくるというのも、なんとなく不思議な感じではある。しかし、ここからバスなどを乗り継ぐとすぐに富山である。時間があれば、富山湾で取れるうまい魚を食べにいけたのに、ととても残念だった。というのも、「Danchu」という食べ物の雑誌に、富山の魚がどんなにうまいかという記事が載っていたのを読んでいたからである。
雷鳥が周りに生息するというみくりが池は、まだ表面が一部氷に覆われていた。しかし、エメラルドグリーンの池の色と、氷の白さが美しいコントラストをかもし出していた。池を一周すると小一時間ほどの散策となる。目を皿のようにして潅木の周りに雷鳥がいないかと探したが、残念ながら見つからなかった。旅館で「雷鳥の里」というお菓子を食べ忘れたことに気づき、ちょっと悔しくなった。
散策を終えて、雪の壁を見に行った。よく、観光案内にも出ている、非常に高い雪の壁の間を観光バスが走っている写真をご覧になったことがおありだろう。一番高いときには、20mの高さになるという。私が行ったときは、すでに6月になっていたということもあって、ずいぶんと低くなってしまっていたが、それでもまだ8mほどあった。
本当は紺ガエル日記なので、車について書かなければいけないのであろうが、ここから引き返して東京に戻ったドライブは、まったく快適というものではなかった。日曜日の夕方の中央高速の渋滞に見事にはまったからである。
しかし、あの道路はひどい。2車線しかなく、それもアップダウンが非常に激しく、トラックが一定速度を保って走るのはほぼ不可能に近い。加えて、結構なワインディングロードとなっているところが結構ある。構造的に、中央高速の渋滞は永遠になくならないと確信した。