紺ガエル日記 2001年3月3日 ポルシェの自動車保険の選び方

走行距離 9,318km

3月19日がやってくる。97年3月19日に、我が家に青猫ちゃんがやってきたのである。そして、3月18日には現在入っている自動車保険が満期を迎える。これまでは、某業界第二位の損害保険会社を使っていた。しかし、去年の秋にこれまで良くして頂いていた保険代理店のかたが廃業し、新たな人が担当になった。以前の方は非常に頼れる方だったので、安心して任せていられたが、今度の人は人となりが良くわからない。

まず、某安田火災の見積もりはこうだった。
対人賠償無制限、対物賠償無制限(免責無し)、人身傷害あり、搭乗者傷害1000万円、自損事故1500万円、車両保険一般車両保険800万円(免責5万円)で、27歳未満無担保、家族限定、10等級だと、ずばり24万3200円である。何と、青猫時代から倍になっている。一月の保険料が2万円、駐車場代が4万円で、車を動かさなくても一月6万円がかかる計算である。恐るべし。リッター5kmほどしか走らないので、ガソリン代もバカにならない。合わせると半端じゃない額を車に突っ込んでいる計算となる。加えて税金もかかるのだ。オイル代、タイヤ代も高いぞ。車走らせるととんでもなく金がかかる。
さらに、某安田火災のおやじは「等級プロテクト」なるものを執拗に勧めてくるのだ。これは、車を擦ってしまったときなど、保険を使って等級が上がって翌年度以降の保険料が高くなるのが嫌で、自腹で修理してしまう人のために、保険を使っても保険の等級がそのままになるという特約である。これをつけると、2万円ほど高くなる。
これは一見お得そうだが、よくよく考えると私はこれまで一度も保険を使ったことがないのである。これまで、ずっと保険会社を儲けさせてやってきたのである。ではわざわざさらに保険会社を儲けさせることもないではないか。

そのときふと疑問に思った。「私はぼられているのでは?」お任せにしていたため、向うの言いなりの見積もりしかもらっていなかった。思い起こすと、ずっとおやじは契約を急がせていた。何度も会社に電話をかけてきて、「銀行からの引き落としの期限がすぐなので早く等級プロテクトつけるか決めてください」などといっていた。私も柄にもなく営業をやっているため判るのだが、営業の人間がやたらと契約を急がせるときには、必ずといっていいほど裏があるのである。「比べるまでもなく」などとコマーシャルをしている某最大手通信会社があるが、比べられて困るから「比べるまでもなく」などといっているのである。皆さん、騙されないように。

ということで、私は比べることにした。今は便利である。インターネットで一度に複数社の見積もりが取れるのである。しかし日本の損保会社が遅れていると思うのは、インターネット上ですぐに見積もりが取れず、数日後にダイレクトメールにて見積もりを送ってくるのである。外資系の会社は、インターネットですぐに見積もりが取れる。私が挑戦したのが外資系3社、変なおじさんが変なカッコで電話をかけるコマーシャルをやっている米系の会社と、発表会を控えた子供を送るお父さんの車が故障してしまうというコマーシャルをやっているスイス系の会社、そして名前は仕事上知っているがあまりメジャーではない別のスイス系の会社である。

まずアメリカンホームダイレクトのホームページにアクセスした。「お見積もりの前に」というところを読んでいると、次のような記述があった。「お車が下記の車以外である。(フェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニ、マセラティ、ロールスロイス、 ベントレー、アストンマーティン)」なんと。門前払いである。ポルシェはダメらしい。ではTVRならいいのか?アルファの昔の車でもいいのか?ランチアデルタインテグラーレの故障と事故率より、993のそれのほうが高いってわけか?

あきらめず次はチューリッヒ損害保険会社のホームページにアクセスした。一生懸命住所や名前などの基本的な事項を20項目近く入力して、ようやく車種のところまで来た。ポルシェを探すものの、見つからない。目を皿のようにしてみても、ないものはないのである。いろいろ入力したのにその先に進めないのでいらいらしていろいろ見てみたら、「フェラーリやポルシェなどの車は保険をお引き受けできません」と書いてあるではないか。先に言え先に。時間を無駄にしてしまったではないか。むかついた。

かなりへこんで、もうあきらめかけていたが、ウインタートウル・スイス保険会社を最後にトライしてみた。おっ、どうやらポルシェでも保険を引き受けて貰えるらしい。ほぼ安田火災の条件と同等にして、保険料を比べてみようとしたが、若干条件に違いができてしまった。車両保険は、30万円アップの830万円(免責1回目は5万円、2回目以降10万円)、人身傷害無し、メインドライバー限定特約(家族限定でも愚妻は運転しないので結局一緒)、そして年間最大走行距離を5000kmに設定した。
年間最大距離は、5000km程度しか走らないでおこう、と紺ガエルを購入したときに心に誓った距離である。しかし、青猫ちゃんは4年弱で46000kmも走ったので、ちょっと守れるかどうか不安。しかし、電話で確認してみたら、年間5000kmの契約の場合は実は年間6500kmまで走行してもOKらしい。6500kmを超えたときに仮に事故を起こしたとしたらどうなるかというと、無保険状態にはならず、契約時にさかのぼって追加走行距離分を徴収されるだけらしい。

さて、入力が無事に全部終了した。見積もりが出てくる。その数字とは…。

なんと、安田火災の見積もりよりも1年で10万円も安い14万7千円であった!
安田火災 ウインタートウル・スイス
車両保険金額 800万円 830万円
車両保険免責額 5万円 1回目5万円、2回目10万円
対人/対物 無制限 無制限
人身傷害 5,000万円 なし
搭乗者傷害 1,000万円 1,000万円
年齢条件 27歳未満不担保 26歳未満不担保
運転者家族限定特約 あり あり
メインドライバー特約 なし あり
年間最大走行距離 なし 5,000km
等級プロテクト なし なし
エアバック割引 あり あり
ABS割引 あり あり
保険等級 10等級 10等級
保険料 243,200円 146,770円

2,3万円の違いであれば何かあったときの対応が安心なので日系の保険会社で契約したかもしれないが、1年で10万円の違いは大きすぎる。ただし、安田火災にあってウインタートウルにない保険内容もあるので、単純な比較はできない。それは、人身傷害である。

私が事故の被害者となった場合、これまでは私自身で加害者の保険会社に治療費、車の修理費などの賠償金を請求しなければならなかった。また、被害総額が1000万円でも、私に例えば1:9の割合で過失があれば、相手方から支払われる賠償金額は900万円にとどまっていた。しかし、人身傷害保険をつけると、安田火災が賠償金を私に払ってくれた上、相手方の保険会社と交渉にあたってくれる。また、当方の過失の割合に関係なく、被害総額全額を払ってくれるというものである。

残念ながら、ウインタートウルにはこの保険は存在せず、オプションでつけることはできなかった。つまるところ、10万円安いことがそのリスクと見合うのかということを考えなければならなかった。

また、もうひとつの違いとして、事故が起こってしまった場合の対応がやはり違ってくる。
安田火災は、全国に252の拠点を持ち、拠点に勤務する正社員は約5,000人。ウインタートウルは拠点数が東京と大阪の2ヶ所、保険査定にあたるアジャスターは500人。安田火災は土曜日は事故対応してくれるが、ウインタートウルは土曜日日曜日ともよく営業日に事故初期対応となる。

以上の違いが出てくるのだが、これが10万円分の安心をもたらすかどうかで、保険会社の選び方が決まってくるということだ。

まとめ。


保険の値段は、ただ高い、安いだけではなく、安いとどこでリスクを取っているのかということを明確に認識した上で保険会社を決めることをお勧めする。結局私は、これまで一度も事故を起こしたことがないため(将来決して起こさないというわけではないが)、万が一のときの保障金額は厚いが、なんでもお任せというのではなく自分の時間を割いて処理をするという方法で保険料を安くしようと考えた。これからお世話になります、ウインタートウルさん。(お世話にならないほうがいいのか。)

結論。皆さん、自動車保険は比べて選びましょう。
(2006年筆者注:因みにウインタートウルは既に日本での営業を休止しています。)

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