紺ガエル日記 2001年2月18日 初めてのオイル交換

走行距離 9,250km

さて、前回の続きである。水戸に行った帰り、常磐道から首都高に向けて帰ってくる途中、油量計がレッドゾーンを示したために肝を冷やした、というのが前回のおさらいである。ポルシェの小塚氏には、「今度はオイル交換とボディコーティングを同時にお願いします」と申し上げていたのだが、オイル交換をとりあえず急ぐことにした。

紺ガエルが前の所有者のもと、九州にいた頃、最後のエンジンオイルの交換は99年夏であった。前のご主人様はずいぶん丁寧な人だったらしく、熊本のディーラーまで出かけてオイル交換をしていたことが、記録簿とリアトランク内のステッカーで判った。
金曜日の会社を昼休みに抜け出し、家まで帰ってポルシェ世田谷まで連れて行った。アイドリング状態ではもちろん油量計はレッドゾーンで、走り出してからしばらくはレッドゾーンからぴくりとも動かなかった。我が家から世田谷までおよそ7Kmほどあるはずだが、エンジン回転数を3000から4500に保ち、恐る恐る連れて行った。
金曜日は久しぶりに天気の良い、暖かい一日だった。世田谷通りをどきどきしながらしばらく走っているうちに、信号待ちとなった。すると、油温が上がって来ていて、油量計も何とメーターの真ん中を指すではないか。どないなっとんねん。どきどきして損したではないか。

「うーん、先週水戸まで出かけたのは寒い一日で、高速では渋滞するでもなく、かといって流れないわけでもないスピードだったから、空冷されすぎて油温が上昇せず、油量も低くなっていたわけか…」
そんなことを考え、わざわざ会社を昼休みに抜け出している自分は何をやっているのだろうと、少し思った。しかし、気を取り直し、前回のオイル交換からすでに1年半以上経っていることもあり、オイル交換するのが紺ガエルのためだ、と思い直した。
ポルシェ世田谷までたどり着き、車を止めようと思ったが、金曜日で休日前に整備に来ている車がことのほか多く、人の車の目の前にとりあえず止めさせてもらった。

ディーラーのオフィスに入って、オイル交換の旨フロントに告げる。間髪おかずにコーヒーが出てくる。私はコーヒーを2年程前にやめているので、恐縮してしまった。そして、メカニックの方にエンジンオイル、オイルフィルター二点、トランスミッションオイル(+ディファレンシャルオイル前後)の交換を依頼した。
そして、今回私(と愚妻も)が冷や汗をかいた原因について、いくつか質問をしてみた。
「冬に外気温が低い日に高速を巡航運転していると、油温が上昇せず、料金所などで止まっても油量計がレッドゾーンを示すのは、どうにもならないのですか?遠距離ドライブをしてオイルを消費しているはずだ、と考えると、結構あせってしまうのですが。」
メカニック氏いわく、「冬はどうしようもないです。やはり寒いときに高速を巡航運転したりすると、油量計は上昇しません。われわれもオイル交換時に適量を調べるとき、冬場は苦労しています。というのも、何十分もアイドリングしても、油温計は適正な位置を示しませんから。そこで、私たちは通気性のあるバスタオルを、エンジンフードの上に載せるという裏技を使って、油温を上昇させています。
そうか、凄い裏技である。今度気温の低い日にオイルを相当量消費する可能性がある長距離ドライブに行くときには、使い古しのバスタオル持参で行かねばならんわけか。そしてサービスエリアで颯爽と取り出したぼろタオルを、エンジンフードへパラリとかぶせて、油温の上昇を待たねばならんわけか。恐るべし、冬場のポルシェ。

メカニック氏は非常に丁寧に、私の愚問に答えてくださった。
「冬場の暖機は、なかなか油温が上がらないので、いつまでやったらいいのか良くわからないのですが。あと、アイドリング状態では油圧が低くてエンジン内にオイルが行き渡らないと聞いたことがあるのですが。」
「5分から10分で結構です。油温が上がらなくても、回転数を上げずにしばらく運転してください。アイドリング状態でエンジン内にオイルが回らないということはないです。しかし、夏場の渋滞は気をつけてください。というのも、水平対向エンジンの真ん中にオイルポンプがついているため、夏場の渋滞では温度が最も上がってオイルによる冷却をもっとも必要としているシリンダーヘッドへのオイルの供給が不十分になる可能性があります。渋滞で空冷も効かず、油温が上がり、なおかつ油圧が上がらないので、夏場の渋滞はエンジンに非常に悪いです。」
非常に勉強になった。メカニック氏、どうもありがとうございます。

オイル交換の値段は以下のとおりであった。
作業内容 個数 部品 技術料
エンジンオイル交換 10.5リットル 25,725 7,200
エンジンオイルドレンシール交換 2 110 -
エンジンオイルフィルター(プライマリー)交換 1 970 5,400
エンジンオイルフィルター(セカンダリー)交換 1 1,550 -
トランスミッションオイル交換 3.6リットル 12,060 2,700
トランスミッションドレンシールリング交換 2 110 -
フロントデフオイル交換 0.6リットル 960 1,800
フロントデフオイルドレンシールリング交換 2 110 -
小計 - 58,695 -
値引き - 6,732 -
税金 - 2,597 -
- 54,560 -
何で値引きして貰えたのかは、よくわからない。多分小塚氏のお気遣いであろう。いつもお世話になっております。

オイル交換をすると、エンジン音が若干静かになった。ミッションオイル交換については、あまり明確なフィーリングの違いは感じられなかった。土曜の朝、ポルシェ世田谷まで紺ガエルを迎えに行き、その足で会社の先輩の坂さんの結婚式に参列するため用賀から早稲田の椿山荘までドライブした。首都高は土曜の朝で非常に空いていて、エンジンのトルクを感じながら気持ちよくドライブできた。
坂さん、結婚おめでとうございます。

そして日曜日は、前の会社の先輩である平佐さんの家に、スキーの板をもらいに出かけた。平佐氏は996乗りである。スキーの板を去年折ってしまい、保険でもらったスキー板が余っているというので、来週スキーに出かける私は余っているというお言葉に甘えて貰いに行ったのである。そして、二人で渋谷のタワーレコードまで買い物に出かけた。平佐氏は私の993に乗ってみたかったようである。

ところで、私がポルシェ乗りになったのも、平佐氏によるところが大きい。彼がボクスターの試乗に出かけ、ポルシェ世田谷の小塚氏に出会い、たまたま996の中古が出てきたときに、平佐氏と私で現車を見に行ったときに、私と小塚氏も知り合いになったわけである。結局彼は小塚氏経由でその中古を購入した。私も一度神宮外苑で彼の996カレラ2スポーツシャーシを運転させて貰ったのだが、それが私がはじめてポルシェを運転した経験だった。以前に一度、前の会社の先輩が993ターボを購入して納車された当日に、ごく短い距離を助手席に座らせていただいたというのがあったが、実際に運転してみるとやっぱり欲しくなるものである。その後、小塚氏の計らいで996のデモカーを1時間ほどお借りして、第三京浜を愚妻とともに新横浜まで往復した。人の車だというのに第三京浜で*00kmもスピードを出したが、まったく恐怖感がなかった。愚妻も、これなら安心して乗っていられると太鼓判を押した。この経験がなければ、愚妻が993購入にすぐに賛成することもなかったであろう。

話がそれた。平佐氏いわく、彼の996スポーツシャーシバージョンの方が足回りが固いそうである。でも、青猫ちゃんのコーニのショックプラスアイバッハのスプリングの固められた足より、今の紺ガエルちゃんの足のほうが硬い気がする。ということは、996スポーツシャーシは半端なく硬いということか。

Next

Back

Index

Home