走行距離 9,150km
3連休だったが、どこに行く計画もなかった。加えて愚妻が風邪を引いてしまい、初日はどこにもいけず、渋谷のジムに行くだけとなってしまった。そういうときに限ってやたらと天気がいいものだから困ってしまう。
というわけで、連休二日目には家人の体調も若干戻り、前日に引き続いてよい天気だったため、出かけたくてうずうずしていた。インターネットで千葉のお鮨屋さんを探していた。しかし、なかなか見つからないものである。(もしいい店を知っていたらメールください。)
そんな中、閃いた。「そうだ、水戸であんこうだ!」
実は昔、前の会社の同期と水戸にあんこうを食べに来たことがあったのである。某有名コンサルティング会社にいた同期がいて、彼が以前クライアントのいる水戸で数ヶ月を過ごし、そのときに食べたあんこう鍋のうまさが忘れられず、われわれを引き連れて水戸を再訪したのである。
余談になるが、土曜の夜、あんこう鍋を食べて腹いっぱいになった後、当然ホテルに直帰するわけではなく、水戸の町を彷徨った。しかし水戸にはゲーセンと(ゲーセンって一発で変換できることに今猛烈に感心した)、カラオケ屋ぐらいしかなく、そして超ナンパ好きの私の友人約二名がそれで納得するわけはなく、その辺の道にたむろしているヤンキーの兄ちゃんになれなれしく話し掛けて、水戸に数軒しかないであろうクラブの中のひとつに出陣と相成ったのである。ヤンキーの兄ちゃんも見た目は怖いが、道を聞くと親切なのは田舎に残る美徳であろうか。まあいい。しかし水戸のクラブは凄かった。「イベントナイト」と銘打っていて、まだフロアがぜんぜん盛り上がっていないので、スタッフに「いつから始まるんですか?」と聞いたら「もう始まっています」とのこと。ナンパ好きな友人NとAが茨城のお姉ちゃんをナンパしようとするも、走って逃げられる始末。それを見て私と友人Sは笑いそうになるのを必死で堪えていた。
そういう話ではなかった。インターネットで「魚誠」という以前行った店がホームページをもっていることを確かめ、営業時間を確認した後、12時前に首都高渋谷から紺ガエルを駆って、一路水戸へと向かった。魚誠の昼の営業は2時半までである。
連休中日というのに道は結構空いていた。3号浜崎橋、C1箱崎と順調に流れ、6号も問題なく、割とあっけなく常磐道に乗ることができた。柏あたりまでは結構車が多かったが、その後はご存知のとおりやりたい放題である。途中、追い越し車線を996、セルシオとBMW7シリーズが編隊を組んで走っていた。セルシオがついて来れているので、めちゃくちゃスピードが乗っていたわけではないが、その連中が道を譲らなかったので中央車線から抜いていった。すると、セルシオが追っかけてきて、リミッターが効くので完全に追いつくわけではないが、前が詰まったときにはくっついてきたり、そのあとは993に抜かれたことが気に入らなかったのか996が猛然と追い上げてきた。しかし996はそんなに気合が入っていたわけでもなく、*20km以上で走っている私を追い越すことはなかった。そんなことをしているから燃費がリッター5km程度しかいかない訳である。まあでも初めて5速でエンジンを回し切った。
そうこうしているうちに、あっという間に水戸についてしまった。こんな道走ったことあったっけ、と思いながら国道50号線を水戸市内に向かった。ここってどこだっけ、と思っている間に、目の前に常陽銀行本店が現れて、魚誠が視界から消えていってしまった。暖簾は出ていたが、強風のためか「準備中」と札が向きを変えていた。行過ぎたのは、建国記念日で、右翼のお兄ちゃんたちがいっぱいいたのに気を取られてしまっていたせいもあった。駐車場を発見して車を止めた。しばらく歩いて、ようやく魚誠にたどり着いた。
がらがらがら。引き戸を開けて中に入ると、お客さんがおいしそうにあんこう鍋の後の雑炊を食べている。何とか営業時間内に間に合ったと思ってほっとするが、店員の態度が何かおかしい。「予約のお客様ですか?」いいえ。猛烈に後悔の念が襲う。「すいません予約がないと…」やはり、「準備中」の札は本当だった。「せっかく水戸くんだりまで来たのに…」愚妻とともに呆然となった。店にいる客が全員勝ち誇った顔でうまそうにあんこうを食っているように見えた。われわれはさぞ哀れに見えたことだろう。
しかし気を取り直し、2時半になるまでにどこか別の店に潜り込むため、近所の本屋に駆け込んで旅行ガイドを立ち読みさせてもらった。すると、5分ぐらい歩いたところに別の有名なあんこう鍋屋があることを発見。そこは日曜祝日は午後の休みなく営業と書いてある。喜び勇んで「山翠」という店を探す。
ようやく、である。しかし引き戸を開けた途端、店内は順番待ちの客でごった返していた。本当に、待っている人がいっぱいいて帳場の前がごった返しているのである。恐るべし、冬のあんこう。人をここまで引き付けるとは。まだ風邪の残る奥さんが具合を悪くしないか心配しながら、暖房のあたるところでわれわれの順序を待った。店が紹介されている雑誌や本などが陳列してあるのを、手にとって眺める。「NAVI」にも紹介されていたらしい。この店の記事を読み終えてしまったので、退屈なので鈴木亜久利のR34GTRの試乗インプレッションを読破してしまった。
そして、この店のパンフレットを手にした。これは凄い。あんこうの生態が書いてある。何と、あんこうは女性上位らしい。「一番おいしいのはホンアンコウという種類ですが、それよりやや小さいチョウチンアンコウは、メスは巨大なのにオスはごく小さく60分の1ぐらいしかありません。しかも全身が生殖器(!!)で、生まれるとすぐメスの下腹に取りついて、メスの体から栄養分を吸収して生きているという不思議な魚です」とある。びっくりである。別の紹介を見ると、「交尾の後はオスはメスに食べられてしまったり、体の中に吸収(??)されてしまったりします」と書いてあった。生まれ変わっても、あんこうのオスだけは嫌である。
ようやくわれわれの番がきて、座敷へと通された。奥さんは風邪を引いているため、あんこう鍋を一人前と、あんきも、あんこうのとも酢、こんにゃくの刺身とイワシ納豆、そしてエビスビールを頼んだ。あんこうのとも酢というのは、肝を練りこんだ焼き酢味噌に、あんきも、皮などをつけて食べるという豪勢なものである。これとあんきも(ポン酢で食べる)を食べ比べた。ポン酢のあんきものほうが好きかも知れない。だがとも酢もかなりうまい。また、水戸といえば納豆なので、イワシ納豆もおいしかった。しかし、当然のことながらあんこう鍋である。いわゆるあんこうの七つ道具、正身・皮・肝・エラ・水袋(胃袋)・ヒモ(卵巣)・ヤナギ(ほほ)を、焼き味噌の味付けがされた鍋に入れ、野菜を入れてねぎが出来上がる程度まで待つのである。これがもうはっきり言ってうまい。うますぎる。フグよりうまい。ゼラチン質のひれの部分など最高である。皮も当然うまい。肝をレアな感じで温めて食べると、これがまたあんきもと若干違った味で、これまたいける。極楽であった。こうやって書いていても、唾液が分泌されるのを止めることはできない。そして締めは雑炊である。魚のだしが染み出した汁で作る雑炊である。最高にうまかった。
そしてせっかく水戸まで来たのだから、偕楽園を見に行った。2月20日から梅祭りが始まるとのこと。遅い昼食の後だったので、日が半分暮れかけていたが、何とか間に合った。梅には若干早かったが、下の写真のとおり一部花が咲いていた。
大変いい一日であった。帰りの道は空いているでもなく、混んでいるでもなく、燃費に気を使いながら4千回転程度回しながらおとなしく帰った。すると、気温が低く、なおかつ冷却効率が良かったせいもあって、油温が結構低めのままの高速走行となり、料金所で止まっても油量計がレッドゾーンを示したままであった。「やばい…水戸を出るときは油量は問題なかったのに…まさかオイル漏れ!?」嫌な予感が頭をよぎった。仕方がないので芝浦のパーキングエリアまで非常におとなしく運転して走り、そこでエンジンを回して油温が上昇した頃、なんとか油量計がぴくっと動いた。隣に乗っている家人など、マニュアルを棒読みし、「油量計がレッドゾーンを示したままで走行すると、エンジンを破損することがあります」などと朗読する始末だったので、冷や汗ものであった。
ということで、次回はエンジンオイル交換のご報告ができると思います。