紺ガエル日記 2001年1月19日 96年式993Carrera4Sを購入するまで(続編)

走行距離 8,555km

996の中古のマーケットを半年ぐらい時間を掛けて丹念に調べたが、名の通った中古車屋でも98年式で超低走行車がずっと売れ残っていたり、99年式走行9000kmのスポーツシャーシバージョンが810万円で売りに出ていることなどをみると,やはり値落ちが結構大きい。2000年の年末にかけては、996の98年式走行15000km程度のものが、700万円割れで売りに出たりしていた。

紺ガエルに出会う前は、993は中古車市場においては非常に割高だというふうに思っていた。原因はいろいろあるだろうが、最大の要因は最後の空冷エンジンモデルであるということ、加えて993が新車で売られていたとき、マルクが今に比べて高かったためだと思われる。今ユーロはだいぶ戻したがそれでも以前と比べれば安い。しかしこの最近のユーロ安は993の中古価格に大きな影響を及ぼさなかった。というのも、中古並行物への信頼感が圧倒的に低いため,現在のユーロ安を活かして安く購入するということが事実上不可能であるからである。その点,996は新車並行が800万円弱で入ってきていたりして、中古車市場もそちらに引きづられる面が大きい。

ポルシェを心から愛している人たちに首を締められそうだが、私がポルシェを選ぶことになったのは,正直言って消去法であった。昔から993のデザインは好きで、私の中では993のニックネームは「つぶらな瞳ちゃん」であった。その中でも、ターボボディはつぶらな瞳の愛くるしさを持ちながら,やくざっぽいスタイリングということで、私はとても魅力を感じた。ブレーキキャリパーが真っ赤なこと、18インチのターボに似たホイールも、バリバリかっこよかった。しかし,F355をこよなく愛していたため、あのエンジン音と比べてフラットシックスの音は、正直言ってアドレナリンを分泌させるには不十分だった。
だが、2000年のクリスマスイブに、ウェブ上ではなく初めて実際に中古車屋を見に行ったときに紺ガエルがそこにいた。その前までは、996で値段がこなれたスポーツパッケージを探して買うつもりでいた。実際、プレステージには上物かつ値段のこなれた996が置いてあったが、どうしても紺ガエルの存在が気になった。だって、格好よかったんだもん。

初めて実車を見に行って、前から格好いいと思っていたターボボディーの4Sを見つけ、996、993問わず一番いい色だと思っていたミッドナイトブルーで、これまで見てきた993の中で最も低走行車だったということで、これは何かの縁だと思った。クリスマスイブだったし、神様のプレゼントかとも思った。もちろん、自分にとっての価値だけではなく、万が一手放したときの市場での価値を考えてみた。悲しいことだが、職業病で、市場での価値というものがどうしても気になってしまう。993ということだけでプレミアムがついて996より高く取引されている上に、市場にほとんど玉がない4Sだったということで、万が一手放してもしっかりしたビッドが立つことは疑いないという結論に達した。

こうして、不純な動機ながら、紺ガエルは、プレステージでつぶらな瞳で空を見上げていた生活に終わりを告げ、我が家にやってくることとなったのである。
そして現在、不純な動機で付き合い始めた彼女を、真剣に好きになっていく段階に突入しているのである。

車内から江ノ島を望む
湘南の海が輝く

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