日々雑感 2005年5月

土佐日記

久しぶりにまとまった休みが取れることになったので、南国土佐を旅してみようと思い立った。何度も書いていて恥ずかしいが、司馬遼太郎の「竜馬が行く」を読んで、ぜひ行ってみたいと思った。竜馬をアイドル視するわけではなく、ああいった人物が生まれ育った環境というのはどういうものか、興味があったのだ。
とかいうととっても偉そうだが、旨い魚と酒を楽しみたかったし、四万十川にも行ってみたかった。

路面電車


先日松山に行ったときもそうだったが、高知も路面電車が走っている。四国は路面電車保存の機運が強いのだろうか。
走っている電車はかなりレトロ。昭和の香りが色濃くする。
高度成長期を思わせる塗装の電車もいれば、チキンラーメンの全面広告の電車もあったりして飽きない。
地元の人にはべたなネタだが、後免行きの電車には「ごめん」と書かれた方向表示板がついていてなんだか可笑しい。

山内神社の狛犬


関が原の戦いで功を上げた山内一豊や、大政奉還を徳川慶喜に進言した山内容堂が祀られている山内神社の狛犬。お歯黒ならぬお歯赤状態。歯も赤ければ足の爪まで赤い。なんだかとってもかわいい。

桂浜


やはり高知観光に桂浜を外すわけには行かない。太平洋を望みながら国道56号線を走ってきたが、本当に土佐の海は碧く輝いている。こんな有名な観光地なのに砂浜が美しいのも特筆もの。写真の浜は桂浜の裏の浜。GW真っ只中というのに、人が全くいなくて、こんな景色を独り占めできるなんて夢のようだった。
お遍路さんが浜を歩いていた。なんだかこの景色、昔見たドラマの「砂の器」で見たワンシーンにとっても似ていた気がした。

沈下橋


「ちんかばし」と読む。「ちんかきょう」でも「ちんげばし」でもない。四万十川が増水した際には川の中に沈むので、沈下橋。水没した際に水圧によって橋が流されることがないよう、橋桁の間隔が通常より短く、また水流の抵抗を極力少なくするために欄干がないのが特徴。
ただし見てお分かりのとおり、小さな沈下橋になると車が一台通るのがやっと。慣れないとかなりの緊張を強いられる。人が橋の端に腰掛けていたが、その横を通過する際は本当にどきどきした。レンタカーで川に落ちでいる場合でもなかろう。
四万十市、というか旧中村市に行くと沈下橋を巡る屋形船が運航しており、先月の長瀞に引き続き川下りを楽しむことにしたのだが、前日の雨で水嵩が増しており沈下橋の下を船で潜ることができず。残念。四万十の流れも濁ってしまっていた。

高知で見かけた不思議なもの


桂浜で見かけたべっこう飴屋さん。どうやらピカチュウ、ケロケロケロッピ、ちびまるこちゃん、筋肉マン、ミッキーとミニーのようなのだが、なんだか違う。なかなかシュールかも。



謎のお味噌屋さんのショーケース。味噌の壺が飾られているのはわかるし、季節柄端午の節句で兜が飾ってあるのも理解できる。しかし何故アヒルの人形がそこにあるのだろうか。謎だ。味噌作りをしながらアフラックの保険代理店でもやっているのだろうか。

高知は、先ほども書いたが昭和の香りが至る所で濃厚に立ち上っている場所だ。時代に取り残されたトタンでできたバラックのような建物、昔の映画でよく出てきたような看板を掲げた病院や倉庫など。タイムマシンで昭和40年代へと連れて行ってくれるような、失うには惜しいものを記録に残した写真集を、地元の書店で見つけた。題して「高知遺産」。サブタイトルが「失う前に、もう一度。2003年から05年、30人が記録した大切にしたい場所。」
予価1500円と書いてあるが実際は1890円なのもご愛嬌。だけど、初めて高知を訪れた私が眺めていてもとってもいい感じ。私は出版社からは一銭も貰ってませんが、ぜひインターネットで注文してみてください。Amazonなどでは買えません。
似たような試みをいろんな街でもすればいいのに。

国道439号線

高知県を縦断する国道439号線は凄い。国道の400番台は「本当にこれが国道か??」と思う道が多いが、439号線は全長がめちゃくちゃ長い上、スリリングなことこの上ない。全長はなんと350km弱、始点の徳島から終点の四万十市(旧中村市)までは国土交通省の道路時刻表によると9時間以上かかるという。「国道を往く」というHPで見たら、
「通称ヨサクと呼ばれ四国最狂(強)の酷道との称号を受けている。京柱峠は四国一の酷道峠としてその名を馳せており、それ以外にも酷な道が続き、全線走破にはかなりの時間と気合い、忍耐力、精神力を必要とする。落石・崩落等の自然災害も多い。初心者は一人で行かないほうが身のため。」
という凄まじい評価を受けていた。
私はこれを知らずに四国カルストから中村まで、およそ70km程度だろうか、この国道を南下した。車一台が何とか走れるだけの道が延々と続き、交通量が少ないためモンテカルロラリー気分でレンタカーのサニーを走らせていると突然ブラインドコーナーの先から対向車がやってきたりする、史上最凶の名に恥じない恐ろしい道だった。一度本当に前から来たFitと正面衝突しそうになり、ABSが作動してサニーのペダルががたがた震えた。雨降りの夜などは絶対に、絶対に走りたくない。

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