日々雑感 2004年2月

中島美嘉のコンサートに行く

パシフィコ横浜に、ヤフーオークションでチケットを入手して中島美嘉のコンサートを見に行った。実際に見る彼女は、最近21になったばかりだとMCで言っていたが、極めて小さく、こんな小さな痩せた女の子の何処から感情が迸ってメロディに紡がれて出て来るのだろうと不思議に思った。

幸いなことに前から8列目という極めて良い席だった。一番新しいアルバムにはジャズ的なアレンジがされた曲が数曲入っているが、そのせいもあって大箱でのコンサートというよりは何となくBlue Noteでジャズシンガーの歌を生バンドの演奏で聴く、という感じ。 ギター、ベース、ドラム、パーカッション、キーボードと女性サイドボーカルというシンプルな編成だった。生で聞く彼女の声は、声量は小さいのだがコントロールはほぼ完璧。アルバムと変わらない伸びのある透明感の高い声で情感深く歌い上げた。少し残念に思ったのは、アレンジがアルバムと寸分違わなかったことと、生声をもっと聴ければよかった点。折角のライブなので、CDの完璧な再現ではなくて、インプロヴィゼーションがあればもっと良かった。また途中2曲はアコースティックアレンジで演奏されたのだが、ギター一本の演奏とともにマイクを使わずに地声で歌い上げてくれれば、と思った。なぜならパシフィコ横浜の音響設計は思った以上に良かったから、そして彼女の声には若干エコー処理がかけられていたから。

話が余り上手ではない、と断りながら彼女は一生懸命自分が楽しんでいるということを観客に伝えようとしていた。極めてアーティスティックなアーティストが商業的に成功を収めている稀有な例だと思う。新曲のSevenという4月上旬に発売される曲も披露されたが、これも極めてクオリティが高い楽曲だった。非常にバリューの高いコンサートだったので、5月の東京追加公演のチケットを手に入れようか悩んでいる。

代々木上原「ル・デパール」(ビストロ)

ネットサーフィンしていて見つけた代々木上原の「ル・デパール」にて愚妻と夕食。ラタトゥイユ、キャベツの煮込みベーコン添え、フォアグラのソテー、鴨胸肉のローストを美味しいワインとともに頂く。どの皿もはずれなし。直球勝負。間違いなくまた訪れるだろう。代々木公園、代々木上原近辺には、LifeRecoverなど見つけにくいが極めてバリューのあるレストランが多い。

Iron Maidenフェスティバル

会社の若い者に誘われて、さいたまスーパーアリーナにIron Maidenとその他二つのバンドのフェスティバルを見に行った。ご存じない方も多いかもしれないので一応断っておくと、Iron Maidenは80年代前半から活動している老舗ヘビメタバンドである。私は昔一ヘビメタファンの嗜みとして聴いていたことがある。驚いたのだがおよそ1万人以上は入ると思われる会場は満席。「こいつらこんなに一杯どこから涌いて出てきたのか」と思えるほど、いわゆるヘビメタファンが大量に集結していた。

黒のスリムのジーンズに、バンドのTシャツを背中に縫いつけたGジャンという典型的なメタルの人の格好をした人が一杯いて、懐かしく思った。KISSやCinderellaなど余りに懐かしいバンドのワッペンを背中じゅうに張っている中年のおじさんなどもいて、結構痛かった。また、一人で日曜日の晩にコンサートに来られないということなのか、奥さん連れで来ているオールドファンも多かったのだが、我々が確認したところ少なくとも二組の夫婦が、奥さんが大音量に耐えられなくなって途中退席した。分からなくもないけどね。可笑しかったのは、会場でビールを売っているのだが、我々の周りの若者たちは飲みすぎたのだろう、前座のバンドが大音量で演奏しているときにグーグー言いながら寝ているのだ。よく寝られるな。

パフォーマンス自体は、新しい曲をやると若者しか盛り上がらないのだが、昔の曲をやると年寄り世代が盛り上がるという不思議な展開。昔のアップテンポな曲にはもう体がついていかないのだろう(特にドラム)、Aces Highなど好きだった曲は演奏されなかった。 VocalのBruceは、セットから落っこちて肋骨を折ったらしく、びっこを引きずりながらバックステージに出たり入ったりしていた。

アニメファンとメタルファンの層が微妙に一致していることも発見できて、有意義な一日だった。

銀座の煉瓦亭でエビフライとメンチカツを食べる

明治26年創業の銀座の洋食屋、煉瓦亭でエビフライとメンチカツを食べた。エビフライは山本益弘氏のお勧め、メンチカツは私の大好物である。先週は麻布十番のグリル満天星で食べたし、今週もたいめいけんのランチメンチカツを食べた。
昭和の香りが色濃くする内装の洋食屋。シュリンプカクテルを前菜に頼んだのだが、これがいまひとつだったので若干不安になったものの、エビフライとメンチカツを食べた途端に不安は吹っ飛んだ。
エビはぷりぷりで、衣も卵を使っていて甘い。メンチカツはデミグラスソースはつかず、テーブルの上のソースをかけて食べる。木の葉型に形を整えて出てきたメンチカツはジューシーで、エビフライよりも厚めについた衣の甘さとのバランスも絶妙だった。

ETC専用インターチェンジの是非

国土交通省が、ETC装着車専用のインターチェンジを作ってインターチェンジの数を倍増させようとしている。日本はインターチェンジ間が平均で英米のおよそ2倍の10kmということで、利便性とコストを天秤にかけて無人のETC装着車専用のインターチェンジを作っていこうということらしい。
しかしこういう話が出ると、必ず「ETC装着車しかインターチェンジが使えないなんて不公平だ」という声が出る。今回も、新聞でいわゆる「識者」が同様のコメントをしていた。馬鹿馬鹿しい。24時間営業の有人の料金所を作って、インターチェンジの数を倍増させたら、いくらコストがかかるか考えもつかないのだろうか。利便性だけ高め、建設費用も人件費も払いませんというのは明らかに人を馬鹿にしている。
ETCを使うことによって、ランニングのコストを大幅に下げることができるわけなので、そのETC専用のインターチェンジを使う車に通常の料金所よりもわずかな金額を上乗せして新設費用をまかなう、というのが正しい考え方だろう。

ETCは便利だが、私は個人的には国土交通省の官僚が自分たちの利権を守ろうとして必要以上にコスト高のシステムを導入したのではないかと思っている。ハイウェーカードの偽造問題などを巧みに使って、渋滞緩和の名の下に高価な機器を一般に販売するのだから、胡散臭いことこの上ない。そして、究極的には日本のすべての車にETC装着を促すために、今回のような政策を打ち出しているのではないかとの疑念を持っている。すべての車がどこの料金所から高速に乗って、どこで下りたかが手に取るように行政に把握される。あなたがたとえば東名東京料金所から厚木料金所まで15分で行ったら、平均速度を逆算されて赤切符が後日送られてくるなどということが近いうちに起こらないとも限らない。現に違反をした人を特定しなくても、車の所有者を処罰できる方向に法律が変わりつつあるらしいではないか。恐ろしい。

ゴーン社長がポルシェで事故

日産のゴーン社長が赤坂でUターンしようとしてバイクと接触事故を起こしたという記事がメディアで出ていた。Zを愛しているなどという発言があったにも拘らず、そのとき運転していたのはポルシェだという。
会社では「やっぱり日産の車に乗っていないのはまずいだろう」という声が多かったが、私は別にゴーンがポルシェに乗って何が悪い、と思う。別に自分がポルシェのオーナーであるからそう思うのではなく、自動車会社の社長がスポーツカーに乗っているということは極めて正しいと思うからである。
たとえば、トヨタの張社長がソアラを自分で運転して赤坂を走るだろうか。ソアラはスポーツカーではないが。間違ってもMR-Sということはないだろう。恐らくショーファードリブンでセンチュリーの後部座席に収まっているに違いない。車の運転の楽しみを感じることがない経営者が車の会社を経営しているということは、間違ってはいないのかもしれないが何となく違和感がある。Fun to Driveなどといっている会社だし。
そういう意味では、日産という会社がトヨタに対して独自色を出して競争していく観点で、ポルシェのような車から学ぶところはたくさんあるに違いない。たとえばあなたが和菓子の老舗の跡取りで、自家製の和菓子しか絶対食べないとしたら、伝統の技を守っていけることはあったとしても先取の機運は恐らく生まれないのではないか。そういう意味で、事故を起こしたことはともかく、ゴーンがポルシェに乗っていたからといって目くじらを立てる理由はどこにもない。

富士山を見下ろす

今福岡へ向かう機中でこれを書いている。国内線で飛ぶのは久しぶりだ。先ほど窓の外に富士山が見えた。真上から見るのは初めてのこと。嬉しくなって写真を撮ってしまった。 上から見る富士山は、いつもと違って何だか厳かさがない。下から冠雪した雄大な山を見上げることで、畏敬の念が自然と湧き出してくるのかもしれない。飛行機に乗って上から眺めてしまうと、何だか自分の方が偉いような気がして有難味に欠ける。

昔早朝に起きて、会社の仲間と富士山に登りに行った。確か梅雨の前だったと思う。朝7時過ぎには登り始め、3時間ほどで8合目近くまでいった記憶がある。通常は午後から登り始め、8合目の山小屋で一泊して体を高所に慣らし、夜明け前に御来光を見に山頂へ向かうケースが多いのだと思う。スケジュール的にそれができなかったため、朝から登ることにした。

しかし、高山病がこんなにきついものとは知らなかった。3歩進んで休憩し、また3歩進むという牛の歩みのようになってしまった。本当に息が苦しく、体が思うように動かないのだ。メンバーの中のイギリス人の女性は、毎日会社に遠方から自転車で来るほどワークアウトが好きなのだが、彼女は酷い頭痛に襲われて可哀想だった。私はただ体が言う事を聞かず、元気な老夫婦が達者な足取りで歩いてくるのに追い抜かされたりしても、自分を奮い立たせるだけの気力は体の何処からも湧き出して来なかった。

何で山登りなどするのか、という質問をされることがままある。そう聞かれたときには、大抵こう答える。普段なかなか感じられない達成感を得ることができる、或いは景色に感動する、などなど。富士登山が辛いのは、高山病になるからという物理的な理由に加えて、景色が変わらないことから来る精神的なものも大きい。よくマラソンで同じ場所を周回するとタイムが落ちるというが、あれと同じである。樹が茂ったところから急に思いもしなかった景色が開けたり、突然目前に白い屏風のように山脈が広がる、などということは富士登山に限ってはない。ただただ、山頂に向かってジグザグに岩と砂の登山道があり、その景色が延々続くのである。「日本で一番の山に登っている自分」に意味を見出さないことには辛くてやっていられない。

結局4時間ほどで富士山頂に到達した。何と、山頂では携帯電話が繋がるのだ。友達に「今何処にいると思う?」と電話することも可能。不思議な感じがする。生憎その日は余り遠くの景色は見られなかった。ゆっくりと休みながらお握りを食べ、お茶を飲んで神社にお参りをし、土産物屋を冷やかす。そんなことをしているうちに段々退屈になってきて、下山することにした。砂まみれになりながら、今度はひたすら斜面を下る。砂地の斜面なので、膝への負担が少なくて良い。あっという間に駆け下りてしまって、結局登りの半分ほど、2時間ほどで駐車場まで戻ってこられた。

斜面を駆け下りて頭から爪先まで砂埃にまみれたので、日帰り温泉に入ることにした。6月初旬とはいえ、空気が薄いため紫外線が強烈で、首の周りは湯に浸かるとヒリヒリと痛む。しかし足の疲れとリュックを背負った肩の凝りがとれ、極楽だった。しかし、一番感銘を受けたのは、露天風呂から西日を浴びた富士山が立派に聳え立っているのが見えた時だ。ただでさえ格好の良い山なのだが、ほんの数時間前まであの山頂にいたかと思うと、とても口では言い表せない気分がした。

会社の窓から冬になると富士山が見られる。たかが山なのだが、やはり何だか気分が良い。日本は温帯モンスーン気候、冬にならないと東京からは富士山がくっきりと見られない。子供の頃は茅ヶ崎に住んでいたので、2階のベランダから毎日富士山が見えた。毎日仕事で慌しい中、富士山を見ると昔の悩みなど知らなかった時代のことを思い出す。

JETのライブで感激

以前にも何度も書かせてもらったが、最近極めて気に入っているロックンロールのバンドがJETである。以前Appleのi-podのコマーシャルソングとしてノリの良いロックの曲が使われていたが、あのバンドである。彼らが2月3日に渋谷AXでライブをやるので、またヤフオクで予約番号を落札し、久しぶりに胸をわくわくさせて当日を待った。

初めて渋谷のAXに行ったのだが、久々のオールスタンディングで2500人弱の収容。余り前に行くと恐ろしいことになりそうなので、若干後ろのほうで我慢することにした。7時開演ということで、いつもでは決して考えられない時間に会社を出たので、会社の同僚は間違いなく他社の面接を受けに行ったと思ったに違いない。しかしそうではなく、オールスタンディングのライブにいかにもサラリーマンという格好で行きたくなかっただけの話である。

結論から言うと、どえらく格好の良いバンドだった。ロックを聞き始めて20年近く経つが、これまで見たライブの中で最良のパフォーマンスの一つだった。まず何がいいかというと、ライブでも全く演奏がぶれない。大体ライブで聴くとスタジオ録音と違ってかなりがっくりくることが多いのだが、彼らはライブのほうがかっこよい。Cester兄弟の兄Nickがギター兼ボーカル、弟Chrisがドラムなのだが、この二人を中心にドライブの効いた骨太のロックンロールが展開される。最初がいきなりアコースティックギター一本でメローなLook What You've Doneという曲だった。通常アコースティックギターでライブをやると、上手い下手が一発でわかってしまうのだが、ギターは無駄な弦には触らないわ、リズムは極めてしっかりしている上にボーカルが歌い上げるというオープニングですっかり掴みはオッケー。オープニングアクトの日本のバンドが余りにしょうもなかったので盛り下がってしまっていたところに、格の違いを見せ付けて登場した。

その後は二本のギターの息もぴったり合った縦ノリロックが始まり、会場は暴動状態。久々にステージダイブを見た。AC/DCを髣髴とさせるミュートの効いたセミアコのギターにオーバードライブがかったサンバーストのフライングVの音がかぶさり、うねりまくったベースが走る。ドラムもプロモビデオをご覧になった方は分かるだろうが独特の猫背な姿勢で力強いビートを紡ぎ出す。後ろで飛び跳ねていた小僧が私に何度も体重の乗った肘打ちをかましてくるので、こっちも肘で押しのけていたらほとんど喧嘩のようになってしまった。それぐらい会場は盛り上がっていた。一番売れたAre You Gonna Be My Girlは最後に取っておくのか、と思ったら後半早々に演奏したので、会場はさらにヒートアップした。恐らく彼らは売れる前は様々な会場でほとんど毎日のようにプレイしていたのだろう。筋金入りのライブバンドだった。惜しむらくはまだ1枚しかアルバムをリリースしていないために、あっという間にライブが終わってしまったことである。高校生の時にGuns'n Rosesのデビューアルバムを聴いて後頭部を殴られたような衝撃を受けたが、今回のライブはそれに近い印象だった。

Rolling Stonesの前座で使われて、Keithが激賞したバンドである。私の中のイメージでは土曜日の朝に134号線を逗子から茅ヶ崎に海を眺めながら走る際に聴きたいバンドかも。昔Black Crowsというロックンロールバンドもいたが、系統としては似ているかも。あのバンドのファーストアルバムも衝撃的だった(ぜひブロードバンド環境の方はAmazonでタダ聴きしてみてください)。兄弟がバンドをやっているというのもそういえば共通している。

アルファ号1歳の誕生日

我が家の愛車2号が来てから一年が経過した。誕生日の前に保険を更新しなければいけないのは分かっていたのだが、忙し過ぎてほったらかしにしてしまっていて、気がついたら保険切れの状況になっていた。最初の保険はめんどくさかったのでディーラーの言うなりに加入したのだが、やはり馬鹿馬鹿しいので今年はちゃんと比較しようと思った。

自動車保険の比較サイトは色々あるのだが、必ずしも使いやすいとは限らず、さらに本当にユーザーフレンドリーとは限らないので、色々見て回ることとなった。毎年のことである。そんなめんどくさいことをやらなくても多少の金を払えば解決するのだが、調べる行為そのものを楽しんでしまう性格なので、(とはいえ造りの悪いサイトにはかなりいらいらさせられるが)また色々と比較検討してしまった。

結論から行くと今回は三井ダイレクト損保を使うことにした。理由は、

の3点である。

三井ダイレクトは事故発生後の処理に対する満足度が高いという宣伝をしていて、それもアピールするポイントだった。通信販売の保険だと何か起こったときに電話してもたらい回しにされそうなイメージがあるので、安心できるところにするべきではないかと感じた。電話の申し込みで感心したのは、オペレーターの質が相対的に高いことだった。加入までに3回電話して3人のオペレーターと話したのだが、1人は結構つら目だったが、2人は極めてまとも。最初の人と話していたら保険に入る気がだんだん失せてきたので適当に言い訳をして電話を置いてしまった。オペレーターの対応は極めて重要だと思う。インターネットで見積もりを出したが保険切れの場合は電話でなければ加入ができない。ちなみにインターネット経由で申し込めば3,000円引きだった。電話での見積もりというのは結構骨の折れる作業だったので、電話で加入するにしても一度自分でネットで色々シミュレーションすることをお勧めする。

結局去年ディーラーで払った保険料133,840円から3分の2程度の80,660円で更新した。内容は全く一緒ではなく、30才未満不担保に変更し不必要な保障は外したのだが、対人対物無制限、車両保険付(免責15万円)にしたので必要十分と判断した。5万円以上の節約となった。いうまでもないが三井ダイレクトの事故への対応は試してみたくない。

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