日々雑感 2003年11月
元上司は変人
私の元上司が仕事で北浦和に行く用事があった。会社から北浦和までは、大宮まで埼京線で一本、そこから京浜東北線で乗り換えて6分ほどで着く。およそ小一時間ほどの距離だ。
ところが偉い人は考えることが違う。恵比寿からわざわざタクシーで首都高経由東京駅へ出て、大宮まで東北新幹線のグリーン車に乗っていってそこから北浦和へ向かうというのである。
やはり偉い人は下々の者達と埼京線などに乗っている場合ではないらしい。しかし東京駅まで少なくともタクシーで20分はかかるはずで、なおかつ新幹線ホームに行く時間を考えたらよっぽど時間が勿体ない。そのことを本人に指摘したら、一生懸命気色ばんで「埼京線になんか乗ってられるか、新幹線のグリーン車で行く」ということを熱弁しているので、その場に居合わせたみんなで笑いを堪えていた。ちなみに念のため言っておくと、彼は愛すべきキャラクターの持ち主であり、私はからかって楽しんでいるだけである。
さらに笑ってしまうことは、「大宮で寝過ごしたら困るから着く5分前に携帯に電話してくれ」とのたまわれたのである。わざわざ余計な時間をかけて新幹線で行った挙句、寝過ごして気がついたら仙台だった、などとなったら大笑いである。というか、むしろその場に居合わせた連中は、みんな心の中で「乗り過ごせ、乗り過ごせ」と祈っていたに違いない。斯く言う私もその中の一人である。
「私もばたばたしているのでもしかしたら電話するの忘れてしまうかもしれませんから、絶対乗り過ごさないように今から準備しますからちょっと待ってください」と言って、昼食で焼肉屋の叙々苑に行った時にくすねてきた紙のエプロンに、「大宮で降ります、起こしてください」と太字のマジックで黒々と書いて私の上司に手渡した。「これを寝る前に首のところにつけておいたら、どんなに爆睡してもきっと誰かが起こしてくれますよ」と言ったら、流石に怒られた。
大山で紅葉鑑賞
金曜日の午後に仕事で極めて残念なことがあった。一年以上前から仕込んでいた仕事が、コンペに負けて他社に取られた模様。最近は機嫌よく仕事しているだが、勤労感謝の日の前々日だというのに、勤労意欲を全く失った。失意の中ふらふらと会社の近くの本屋に行ったら、「大人の遠足 関東周辺楽しい山あるき」という本を見かけた。最近全く山登りに行かなくなってしまったことを残念に思っていたので、つい手にとってしまった。
かつては良く山に登りに行ったものだ。最初の会社では山登りが好きな人たちが多く、週末に良く連れ立って静かな自然に溶け込みに山を目指した。しかし会社を替わると同じ趣味を持つ人が見つからず、随分とご無沙汰してしまっていた。
そのブランクを埋めるため、その本を早速購入し、近くのお気に入りのタリーズでコーヒーを飲みながら、週末のプランを立てることにした。
三連休の中日に一日位体を動かしても良かろうと思っていたのだが、奥さんを説得して連れて行かなければならないのが一番難しいところである。というのも、以前モンブランに行ったときに、初級者向けハイキングコースというのに騙して連れて行ったところ、全く初心者向けではなくて彼女は体力的に地獄を見て、それ以来ハイキングというものに強い不信感あるいは嫌悪感を覚えているのだ。
その想い出も既に一年以上も前のものになり、そろそろ彼女の記憶も薄れかけてきているに違いないと思い、金曜日と土曜日の二日間、ハイキングに行かないかと回りくどく説得した。
苦労も実って、日曜日の朝六時半に起きて大山に行くこととなった。なぜ大山かというと、初級者向けコースと書いてある割に高低差と距離があるので、奥さんには悪いが私には楽しそうなこと、ヤビツ峠に近く、帰りに少し車でワインディングを楽しめることである。もっと言うと、私が小学四年生の時に神奈川県茅ヶ崎市立N小学校の遠足は大山だったのだが、生憎その遠足の直前に転校してしまった為、登る事を果たせなかった大山に二十数年振りのリベンジ(そんな大袈裟な山ではないが)をしたかったというのもある。
しかし調べてみると、この時期は車で行くよりも電車で行ったほうが良さそうだという事が判った。駐車場の数が少ないので、バスのほうが便利だとのこと。小田急線で伊勢原まで一時間ほど、そこからバスに三十分ほど揺られて大山ケーブル駅バス停に到着した。既に伊勢原の駅でバスを待つ長い人の列が出来ていた。流石三連休中日。ケーブル駅バス停までの道も、駐車場町のマイカーが列をなしていた。今日来ないと恐らくもう紅葉は終わりだろう。
バス停からケーブルカーの駅まで十五分ほど、参道の土産物屋を冷やかしながら歩き、ケーブルカーに乗り込むまで十分ほどかかった。ケーブルカーはあっという間に阿夫利神社の下社に着いた。
下社からの景色も中々のものである。天気予報は晴れと言っていたのだが、残念ながら曇りがちで視界も限られていたのだが、そうは言っても江ノ島がはっきりと見えた。
仕事がうまくいくことをお参りし、早速山頂を目指すことにした。
上り始めると、結構な勾配が続く。普通だと階段状になっている急斜面を暫く登るとゆっくりとした山道が現れるのだが、延々と急斜面の登りである。久しぶりの山登りなので簡単に息が上がってしまったが、嫁の前で弱音を吐くわけにもいかず、また周りの爺さん婆さんもしっかりした足取りで登っていることもあり、とりあえずやせ我慢をすることにした。
途中何箇所か見晴らしのいいところを通ったのだが、残念ながら富士山を見ることは出来なかった。嫁は辛そうな顔をしながらもしっかりと登っていたので一安心した。
歩くこと一時間ほど、奥さんを待って休んだことも多かったので本当はもっと早く登れたのだろうが、阿夫利神社の上社に辿り着いた。阿夫利神社は名前の通り雨降りを乞うたことから名づけられたそうだが、江戸時代から参拝する人が大変多かったそうだ。下社は立派だったが、標高1200mを越えるところに立派な建物を建てるのはやはり大変なのだろう、上社は若干古めかしかった。
下の写真は、上社のすぐ近くにある山頂の所から撮ったものである。小田原の方角を見て撮った。
バスの案内所のおばさんが言っていたが、今年の紅葉は今ひとつだとのことだった。しかし天気こそ曇っていたものの、大山ハイキングは今年の紅葉のシーズンの収穫の一つだった。
早起きしたこともあり、山登りから家に帰ってもまだ四時過ぎだった。腹が減ったのでキムチ鍋を作り、早い時間からがんがんビールと芋焼酎を飲んでいたら、気がついたら九時過ぎには爆睡していた。筋肉痛は明日やってくるのだろうか?
気づかぬ間に50000アクセス突破
お蔭様で、本ホームページへのアクセスが50000を突破しました。2001年初めに開設してから3年弱、特段宣伝もしていないし、相互リンクもあまりお願いしておらず、さらに私の人生も大きな波乱があったりしたせいで更新がご無沙汰していたり、様々な悪条件の中、良くこんなに見ていただいたものだと思います。メールを頂くこともあり、忙しい時には返事も遅くなったりはするのですがありがたく拝見しております。
最近はアルファ号に乗る機会も多くなって、マイレージが伸びないのでご報告することも減ってきてしまっています。あとヨーロッパ旅行のページは1年以上未完のままでほったらかし。申し訳ない。
早くタイヤを変えないと、不幸な形で本ホームページが終了してしまうのではと脅えている今日このごろです。
東京モーターショーへ行く
東京モーターショーへ行った。色々見たのだが、一番かっこよく、二度見てもいいなあと思ったのはずばりアルファのコンペティオーネ。圧倒的なかっちょよさ。他はどうでもよくなるぐらい、かっこよかった。他はどうでも良くなるぐらい、というのは若干誇張で、残念ながらデジカメのバッテリーが上がってしまったので写真を撮りたくてもとれなかったのだった。


とんかつ「燕楽」(新橋)
サービスはあまりよくないけれど、ここのロースかつとヒレカツ丼はとても美味しい。ロースかつは、分厚い肉を低温でじっくりと揚げているため、豚肉の甘みが非常に強い。脂身の部分も妙なくささがなく、上質な肉を使っていることが容易に想像できる。また衣もかなりしっかりとつけられていて、ソースをかけてもしんなりしないでパリッとしていてどうやったらこうなるのか大層不思議。付け合せのポテトサラダも、玉葱の味が利いて何だか昭和の味がして結構好きかも。
ヒレカツ丼は、米が硬めに炊いてあり、ご飯がべたべたしない。たれの甘辛さも絶妙。とんかつの衣もたれにつけられてしんなりして、半熟の玉子とのコンビネーションが凄い。
空いている11時半ぐらいに行きたい。混んでいると座れてもえらく長く待たされる。今日は2階の座敷に座ったのだが、結構我慢の限界を試された。いつ私が怒り出さないかと、嫁が隣でどきどきしているのがよく判った。今日はのんびりした気分だったので大丈夫でした。念のため。現在東京で私が最も好きなとんかつ屋の一つ。
とんかつ「とんき」(目黒)
ここは大きな調理場を、ぐるりとカウンターが囲む。カウンターの中では手際よくお店の方がそれぞれの役割を淡々とこなしていて、注文の品を待っている間も飽きることはない。とても清潔な、明るい調理場の中で、ファミリービジネスでやっているためだろう、店員さんの顔がどれも似ているのを観察するためだけにでも行く価値はあるだろう。
私は大体ここではロースに串かつをつけてもらうことにしている。店に入るや否やロースとヒレ、串かつのどれかを告げなければいけないので、最初は若干戸惑うかもしれない。
ここは、通常の店よりも明らかに美味しいが、何かが飛びぬけているわけではなく、平均的にレベルが高いので批評するのが難しい。決して悪いことを言うつもりはないのだが。払ったお金に見合っただけの美味しいとんかつが食べられることは間違いない。
ハヤシライス「レストラン丸善」(日本橋)
日本橋で昼前に一軒アポイントメントがあり、ミーティングの途中で頭の片隅でランチをどこで食べようかと悩んでいた。たいめいけんでメンチカツを食べると美味しいだろうなあと思っていたのだが、生憎外は雨が降っているのであまり歩きたくない。そんな中脳裏によぎったのは、日本橋丸善の屋上に、ハヤシライス日本発祥の店があると誰かから聞いた記憶だった。そのアイデアを採用することにし、すきっ腹を抱えて丸善に移動した。
屋上までエレベーターで出ると、なんとゴルフ練習場があってびっくりした。小さなペントハウスみたいになっているレストランには、やはりハヤシライス日本発祥の店との記述が。オムハヤシとか、カレーとハヤシがかかった二色オムライスとかに目を引かれたが、カツハヤシを注文。揚げ物ばかり食べている今日この頃。
ハヤシのソースは思ったよりもさらさらしていない、濃い茶色がかったものだった。中に入っているお肉が不思議な食感。なんというか、水にふやかしたビーフジャーキーというか。味は極めて真っ当で、これはある意味王道を行っているのだろうと思った。カツは普通からいまいちぐらいだったが、とんかつ屋ではないので本職のとんかつ屋のとんかつと比べるのも分が悪かろう。今度はオムハヤシが食べたい。卵とハヤシの相性がとても良いような気がする。ここも色濃く昭和の匂いがした。
すき焼き「よしはし」(赤坂)
ちょっと判りにくいところにある、すき焼きの名店。先日行ったのは二度目だったが、カウンターに座ったのは初めてだった。隣が国会議員のおじいさんが一人で健啖家ぶりを回りに見せ付けていて、その隣が布施明が外人の女の人を連れて話し込み、反対側はというと私の同業がお客さんを接待中という、冷静にすき焼きを味わうのには若干難しいシチュエーションだった。めったにこんなことはないのだが。
すき焼きのコースは1万3千円と1万6千円の二種類。何が違うのかは聞き忘れたが、普通に考えれば肉の種類だろう。私は接待ということもあって高いほうにしたが、次の日顔に吹き出物が出来て後悔。見事な霜降りの肉だったが、寄る年波には勝てず、脂が消化できなくなってくる。次回は安いほうにしてみようと思っている。
鉄鍋を覆い隠さんばかりの霜降りのお肉を、仲居さんが手際よく焼いてくれたのを、卵につけて食す。大きな肉なのだが、簡単に箸で切れるのは言うまでもない。柔らかい肉が必ずしもいいとは限らないのだが、ここまで柔らかいとぐうの音も出ない。ちなみに、卵も凝っていて、白身のところだけ食前に箸で泡立ててくれるので上はメレンゲになっていて、下に黄身が残っているという不思議な状態で肉を浸して食す。なんとも不思議な感じである。
なかなかインパクトの強い店で、誰かに紹介したくなる。
しかしとんかつやすき焼きばかり食べているので、これまで健康診断で問題があったことは全くなかったのだが、今年の診断結果でなんと中性脂肪と尿酸値が健常人の上限をはるかに突破。迫り来る痛風。最近の運動はゴルフのみ。そして寄る年波。とほほ。
干物「あん梅」(麻布十番)
麻布十番も色々と美味しい食べ物屋さんが多い街だ。天ぷらの「畑中」の先に、旨い魚を食べさせる店があるらしいとガイドブックに書いてあったのを見ていってみることにした。
結論から行くと、とても美味しかった。かわはぎの刺身と、かますの干物が特に旨かった。かわはぎは刺身なのだがとても奥深い味で、ふぐに高い金を払うぐらいだったらこちらのほうがよっぽど旨いと思った。白身なのになんでこんなに複雑な味が閉じ込められているのだろう。まずい魚を昆布締めにしたものよりもよほどこちらのほうが旨味が閉じ込められている。そして肝もねっとりとした味が口の中に広がる。鮟肝と同じような味なのだが、新鮮な刺身から取った肝なので、後味が爽やかな感じだった。
かますの干物は、ぷっくりとした身が弾けそうな感じで出てきた。焼き具合もいい塩梅で、脂が適度に落ちていていい具合だった。干物を食べるとき、表面の薄黄色になった皮を食べるのが好きなのだが、それも非常に滋味深かった。太陽の光でアミノ酸が増えて干物は旨くなるのだなあ、というのが実感できる味だった。初めてお邪魔したのだがまた行こうと思わせる店だった。
2003年10月の日々雑感へ
2003年12月の日々雑感へ
Home