日々雑感
2003年2月
最近行った店のまとめ。
Vino Della Pace(西麻布、イタリア料理・ワインバー)
ここはイタリアワインの神様のようなソムリエ、内藤さんがいらっしゃいます。内藤さんは、何となくホンジャマカの石塚さんを思わせる感じの人なのですが、この方のイタリアワインの知識と丁寧なサービスは、他の追随を許さないものがあります。イタリアのいいワインを現地で見つけると、生産者を口説き倒して日本に輸出するよう説得するほどの力の入れ方です。
久しぶりにこの前お邪魔しました。金曜日の夜に、男二人でワインと料理を戴く予定でした。ただし、一緒に食事をする人が大遅刻魔であるということが大きな誤算でした。ただの遅刻魔ならいいのですが、その方は私の恩人なのでした。
「今日は7時過ぎに出れそうだから」という電話があったのですが、まさかそんな時間に出られるわけがないと思って、店の予約は8時からにしておきました。お店には二人で予約をしておいたので、何時も通り奥さんとくるのだと思ったのでしょう、少し仕切られたスペースに二人用のテーブルがあるところに通されました。そのスペースのもう一つのテーブルでは、40がらみのおじさんが、30ちょっと過ぎぐらいの女の人と食事をしていました。おやじ二人がその横で食事をすると、雰囲気ぶち壊しです。
案の定私の恩師は時間通りには現れず、私はやはり、と思って持参した雑誌を読み始めました。しかし、居心地の悪いことといったらこの上ありません。隣では、おじさんがお姉ちゃんを口説き始め、私の存在はとても邪魔だろう、と思いながら肩身狭く時間をつぶしていました。さらに、予約なしで店を訪れたお客さんが断られているのも背中越しに聞こえてきてしまいました。暇つぶしに何もしないと、さらに隣のテーブルに耳ダンボ状態になってしまってもなんですので、雑誌を読み終わった後携帯電話のテトリスまでしてしまいました。
結局恩師が現れたのが2時間後。恩師だけに怒る訳にもいかず。仕事が丁寧な人なので、また、丁寧な仕事の仕方を教わった方なので、まあしょうがありません。
全く店のレビューではなくなってしまいましたが、ここでは内藤さんに「こんな感じのものを持ってきてください」といって、おすすめしてもらうのが一番です。知ったかぶりしても内藤さんには決して勝てないのですから。料理も、内藤さんにワインにあうものをお願いしてください。これまで知らなかったイタリアワインの世界が開けること、間違いなしです。
金曜日の晩に営業妨害をしてしまったとの反省から、次の月曜日には早速会社の後輩を連れてお邪魔し、非礼を内藤さんにお詫びしておきました。
しみづ(新橋、鮨)
ここも超久しぶりにお邪魔しました。何度も行こうと思って、当日の夕方遅くに連絡を入れると、当たり前なのですが予約が一杯で断られてしまっていました。こちらの悪い性分で、その時にならないと予定が決まらないので、何度かトライしたのですが中々タイミングが合いませんでした。
たまたま土曜日の午前に、日本橋に私の愛車2号を数時間ほど入院させている間に、「そういえばしみづさんは昼間も営業している!」と思い出して、11時半前に水天宮前から電話して今日の昼が営業しているのか確認しました。そして、ひさしぶりのしみづだと、心を弾ませながら人形町まで歩いて都営浅草線で新橋を目指しました。
1年3ヶ月ぶりぐらいの訪問です。確か、最後に来たときには、お年賀のお茶を頂戴したので、それ位になるでしょう。驚いたのは、電話をしたのが私だとちゃんと判って下さっていて、さらに、超ご無沙汰だったにも拘らず私の名前を覚えていてくださったことでした。
ここでは、つまみでみる貝、すみいか、こぶ締めをいつも食べます。みる貝は、このお店で頂くまではあまり好きではありませんでした。どれも、他のお鮨屋さんで同じものを頼むのとは全然違います。ここに来ると、煮はま、づけ、こはだ、アナゴなど、仕事のしてあるお鮨の旨さで喉が鳴ります。海老も美味しかったなあ。ここのさよりも凄く好きです。
こんないい店にご無沙汰していたなんて、と思って、ここにも次の週、早速お世話になったお客様をご招待してしまいました。
ダンス(六本木、ワインバー)
上記のお世話になったお客様に、しみづの後連れて行っていただいたのが、六本木のワインバー「ダンス」です。オーストラリアのワインを中心においてある、非常に珍しいワインバーです。六本木交差点から乃木坂方面に歩いて、最初の信号の先を左斜めに星条旗通りに抜けていく道の途中の右側奥に、いくつかお店が固まっているところの一角にそのお店はあります。
実は、そのお客様に、前から「僕は早く勤めを辞めてイタリアワインのバーを開きたいのです」などといっていたのですが、なんと、そのお客様の奥様が実はこのワインバーを取り仕切っていらっしゃるのでした。
そのお客様(Yさん)は、私が新しい会社に移ったばかりの頃に商いをつけていただいたりして、非常にお世話になってきた方なのですが、この度の人事異動で、私と接点がない部署に移動になってしまうことになりました。色々な感謝の気持を込めて、食事に招待したのですが、二軒目になんと奥様がやっていらっしゃるお店に連れて行ってくださったのです。
お客様と営業、という関係だと、私がそのお店をよく使うと何となくいやらしくなってしまうので、それが嫌でこれまで紹介しなかったのだ、とおっしゃっていらっしゃいました。それもまたフェアな話です。
たまたま犬の話をしていて、Yさんのお宅の犬がビーグルのダンスちゃんという犬だと伺っていました。そして、何も知らされないままに二軒目の店につれられていったら、お店の名前が「ダンス」、ご丁寧に看板のダンスの文字の横にちょこんと座った犬の絵まで描いてあったので、どんな偶然なのだろうかと最初は思いました。
奥様とソムリエの方がカウンターにいらっしゃって、おすすめのオージーワインを戴きました。最初はメルロー、その後シラーズにピノノアールと、グラスで戴きました。グラスで戴くのに、いちいち抜栓されたので、こちらが恐縮してしまいましたが、グラスワインで色々注文できるのだそうです。シラーズは最初のアタックが結構強いのですが、その後の飲み口も非常に力強く、オーストラリアのワインも凄いのだ、というのがよく判りました。ピノノアールもよかったなあ。食事のメニューも充実していて、洋食系(オムライス、ハヤシライスなど)の私の好物のメニューも載っていたので、今度ぜひ仕事帰りに奥さんと寄ろうと思います。
サイゴン(日比谷、ランチ、ベトナム料理)
ここも久しぶりです。昔の会社が移転前に新有楽町ビルにあったので、赤坂に移転した後も会社の先輩が懐かしがって、たまに連れてきてくれたのを思い出します。一人で混んでいるお店のランチを食べるのは若干抵抗があるのですが(お店に悪いので)、11時過ぎにミーティングが終わってお腹が減っていたので、空いているお店を見てこれ幸いとばかりにランチを食べる事にしました。
「ネムランチ」を食べました。ベトナムの揚げ春巻き2本と、ご飯とザーサイとスープというシンプルなメニュー、1000円也。揚げたてだったので、口の中を火傷しそうになりながら、すっぱ辛いソースをかけて食べました。量としては大した事がないので、すぐに食べ終わってしまうのですが、美味しかった。渋谷の東急東横店の地下にも出店しているのですが、そこで作り置きのものを食べてあまり感心しなかったのに比べると、圧倒的に美味しかったです。また昼前にクライアントミーティングが終わったら行く事にしようと思いました。
からく(銀座、ランチ、鮨)
「土曜のランチに「しみづ」にいったよ」と、うちの愚妻に自慢をしたら、翌週早速連れて行け、といわれました。1週間のうちに3回行くのはかなり気恥ずかしいなあ、とは思ったものの、自分だけいい思いをしているといつどこでしっぺ返しされるか分からなかったため、とりあえず連れて行く事にしました。
しかし、土曜の午前中に私がジムに行って帰ってくるのが遅くなったのと、奥さんがいろいろな家事をこなしていたために、出かけるのが遅くなってしまって、「しみづ」の昼の営業が終わってしまう時間になってしまいした。仕方がないので、通しで営業しているすし屋に彼女を連れて行く事になり、銀座の「からく」に白羽の矢が立ちました。
最近はそうでもなくなったのですが、昔は初めてのお鮨屋さんに行くと緊張したなあ、と思いながら地下への階段を降りて引き戸を開けると、遅い午後だった事もあって客は老婦人の二人連れだけ。銀座で買い物をして小腹が空いた時にふらっと来るには、非常に使い勝手のよさそうなお店です。昼過ぎという事もあって、板前さんが皆若かったのが印象的でした。しかし鮨屋の賄いでカレー食べるのはやめて欲しい。カウンターまでカレーの匂いが届いてきてしまってました。まあランチで偉そうな事をいうな、といわれればそれまでですが。
つまみに槍烏賊の焼き物、いわしの焼き物にポン酢をかけたものを頂きました。どちらもビールにぴったりのおつまみです。昼過ぎから酒を飲むのは贅沢でいいです。おっと、その前に頂いたげその茹でたものに煮きりを塗ったのは美味しかったなあ。
づけ、ひらめの昆布締め、煮はまなど、私の好きなたねはどれも良かったです。珍しいと思ったのは、サヨリにも、干瓢巻きにもおぼろが入る事。サヨリにおぼろを入れる店は初めてです。でも、とてもよいコンビネーションでした。
こう言ったら失礼に当たるかもしれませんが、銀座のお鮨屋さんの中では気軽に入れる感じのお店でした。昼と夜とではかなり印象が異なるお店が多いので、今度夜に行ってみようと思っています。
青木(銀座、鮨)
仕事の用事で使わせて頂きました。東京いい店うまい店で鮨の欄をみると真っ先に目に飛び込んできます。といってもあいうえお順で一番最初だからなのですが。若い板前さんが独立されたお店だ、というので期待感が高まりました。
お店に入ると、10席ほどのカウンターが満席。会社で隣に座っている人が前日に行ったらがらがらだった、と言っていたのですが、日によって違うものです。仕方がないのでしばらくテーブル席にいて、カウンターが空いたら移動することにしました。その間に食べたかつおは美味しかったです。しばらく待つとカウンターが空いたので移動したのですが、隣のカップルというかバカップルが、二人ともたばこをぷかぷか吹かしていました。カウンターに案内され、席に座らず立ったままでじっとたばこの煙を見ていたのですが、残念ながら店の方からのリアクションは何もなし。しかしこのバカップルはひどかった。人が注文しようとしているところに横から注文したり、たばこを遠慮なく吸いつづけたり、注文したものがなかなか出てこないと文句を言ったり、挙げ句の果てには注文したものを残したまま席を立って帰っていきました。バカップルが帰った後、よっぽど「隣のお客さんはよく来られるのですか?」と聞いてやろうかと思いました。お客さんと一緒だったので流石に自制しましたが。
混んでいたので青木さんに握ってもらうのは叶いませんでした。お弟子さんが握ってくれたのですが、今一つでした。なんだかシャリがほろりとこぼれるように崩れる感じがなかったのです。そういえばシャリを箱型に握っているような、不思議な握り方をされていました。かさご、サヨリは美味しかった。どちらもおぼろをつけて握ってありました。つまみの赤身は柔らかく、ひらめもこりこりとした食感とねっとりした脂の感触がマッチしてよかったです。けれど、筋の悪い客の隣で、お弟子さんが握る鮨を食べて高い金を払う価値があるかと言うと、やはり疑問です。運が悪かっただけかもしれませんが、自腹で行く事はおそらくないでしょう。初めてのお店は、難しいものです。空いている日に、青木さんに握ってもらえばまた印象が全然違うのかもしれません。
2月15日(土)
8年ぶりの餃子の王将、反戦デモ
無性に何かが食べたくなるときってあります。今日は突然餃子が食べたくなりました。元関西人の私には、やはり餃子といえば脊髄反射で王将となってしまいます。
渋谷のガード下に餃子の王将があって、実は昔から気になっていました。しかし、王将に行くのは大学生のとき以来、どう考えても8年ぶりぐらいです。昔行ったファーストフードの店、たとえばケンタッキーや吉野家なども、ここ10年近く行っていない気がします。ですので、王将に行くのもどういうわけだか気恥ずかしく、暫く足が遠ざかっていました。
今日は、奥さんが旅行に出掛けているという好条件(?)もあり、思い切って8年ぶりに王将の扉をたたくことにしました。高校生のときはよく食べたなあ。部活の前や、麻雀屋に出前してもらったり。懐かしい。
思ったよりも店は混んでいました。少し待たされて、入り口のすぐそばのカウンターに案内されました。扉が開くたびに寒気が襲うという、何ともうら寂しい席をあてがわれ、とりあえず生ビールと餃子二人前、ホイコーロを頼みました。
久しぶりに食べる王将の餃子は、私の記憶の中の味と若干異なっていました。ありがちなことに、昔食べた餃子の味の記憶のほうが、今食べている餃子の味よりも美味しかった気がするのです。昔はあまりいいものを食べていなかったので、相対的に餃子が美味しく感じられたのか、それとも渋谷の王将の餃子の味が悪いのか、私には判然としませんでした。
しかし食べているうちに、そういえばこんなだったかもしれない、と思い始めてきました。生ビールと餃子、ホイコーロ。そうそう、これがやりたかったんだよね、と思いながらついついビールをお代わりしてしまいました。
ゆっくり時間をかけて平らげて、脂がギトギトの皿を眺めて何となく後ろめたい気持ちにはなったものの、何だかよく判らないのですが満ち足りた気分になりました。大人になったなあ、と思ったのは、会計をしたら2000円弱だったときです。昔は「王将で1000円も使ったらおなか一杯で倒れそう」と思ったものですが、生ビールを二杯飲むとそのくらいの値段になってしまうのですね。
昔は「唐揚げも食べたいけどお金がないから我慢しよう」などと思ったのですが、今はそんな心配をせずにすんでいるので、何だか満ち足りた気がしたのかもしれません。
久しぶりにデモを見ました。そして公安も。今晩の渋谷は大渋滞。イラクとの戦争に反対する人たちが渋谷の中心を練り歩いていたからです。
公安を見たのは久しぶりです。花粉症でもないのに、マスクをした中年のおっさんが3人いました。昔はよく見ました。90年代だというのに、中○派や革○協などのいわゆる極左暴力集団の方々がたくさんいらっしゃった大学に通っていたものですから。
一般教養を学ぶキャンパスの入り口には、警察車両を乗りつけ、怪しく帽子をかぶってマスクをし、首からカメラをかけて暑い日にもかかわらずジャンパーを着た地方公務員の方の姿をよく見かけました。ぱっと見、こんな怪しい格好している人はそんなにいない、と思われるような格好を、司法警察官の方がしている姿には、よく微笑させられました。むしろ、苦笑かも。学園の自治を侵害することは出来ないので、彼らは校門より中には入ってこれないのです。しかし情報収集が必要なために、校門の外から象牙の塔の中をうかがっていたのでした。
そして、それに対抗するかのように、どんなに暑い日でも白衣を着て、黒いビニールのかばんを自衛用の凶器と思しきかさばる物体で一杯にした人たちが地方公務員とにらみ合っていました。学生というよりは、職業革命家の方々でした。彼らの敵は地方公務員だけではなく、対立するセクトもそうでした。そのために自衛の凶器をかばんに入れていると思われました。
吉田寮という中○派の巣窟になっている大学の寮には娯楽室があり、卓球台がおいてありました。そして、中○派の人たちは、例の謎の独特の字体で書かれた自らの所属を示す白いヘルメットをかぶりながら、卓球にいそしんでおりました。
閑話休題。今日のデモは、最初見たときは割と市民運動的な平和なデモンストレーションだったのですが、車の中から暫く眺めていると、黒旗を翻し、いつでも旗ざおを凶器にしてやるぞ、という意思をたぎらせたアナーキストの人たちや、例の独特の字体を赤旗に記した沖縄の反戦団体の人達などがいました。
そんな人たちが公園通りを目一杯に広がって多数降りてくる姿は、権力側に立っていない私にも若干の恐怖心を持たせるのに十分でした。響く沖縄の太鼓の音。連呼されるシュプレヒコール。携帯電話のカメラで写真に納める一般市民。渋滞にいきり立って空ぶかしをするバイクの連中。一歩間違えば、騒ぎの好きな若者が扇動されて、暴動に発展する可能性もゼロではない感じがしました。私は今回のイラクに対するアメリカの攻撃は正当化されないと考えている人間の一人ですが、今日のデモは私の本能が私自身にそこにいることが危険であることを警告していました。別に何も起こらなかったのですが。
2月8日(土)
ささやかな幸福。
最近、色々と大変なことが多い中で、久々にいいことがありました。といっても大したことではないのですが、ゴルフで自己最高スコアを更新したのです。
これまでよりも8つもスコアを縮めました。
まだまだ人様に自慢できるほどのものではないのですが、「たまにはいいことがあってもいいよな」と思いました。
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