青猫との思い出の中で、忘れられないもののひとつは、免停を食らったことである。
車を購入して半年後、その悪夢は私を襲った。平成9年9月27日、横浜横須賀道路を逗子付近で北上中、移動オービスにやられてしまったのである。速度は軽く150キロは出ていた。ちなみに80キロ制限の道である。
「70キロオーバーってことは…(泣)そういえばスピード出し過ぎると未必の故意での殺人罪になるって誰か言ってたな…」様々な思いが胸を去来した。私は免許を取得したのが19の頃、その後ずっと6年間無事故無違反だったのに…。
体験された方は知っていると思うが、オービスが光ると、夜でも目の前が真っ赤になる。関東近郊のオービスの所在地は大体頭の中にインプットされているが、今回は移動オービスである。警告表示は全く目に入らなかった。目の前が真っ赤に光ってようやくわれに返った。残念ながら移動オービスのため、フィルム切れで無罪放免などというラッキーなことはありえない。
私の頭の中では、即座に「減点12点は何日の免停なのだろうか」という問いが繰り返されていた。
この日はたまたま車が修理から帰ってきたばかりで、いつも愛用しているレーダー探知機が取り外されていたのだった。何ともアンラッキーだった。
そしておよそ10日後、素敵なお手紙が我が家へ送られてきた。
「交通違反の件について,お尋ねしたいことがありますので、某月某日に朝比奈の交通機動隊分駐所までお越しください」
不思議なことなのだが、朝比奈まで東京から車で行ってもいいとのこと。免停確実な人間に車で越させるとは,警察も何を考えているのだろうか。でも電車で行くのは絶対嫌だったが。
分駐所に行くと,とっても映りのよい写真を見せられた。隣に当時の彼女、今の奥さんを乗せていたのだが、われわれ二人はばっちり顔が写っている。よく「隣に女性を乗せていると、プライバシーの問題でスピード違反に問われない」などという俗説が流布しているが、まったくの嘘である。ちなみに測定されたスピードは写真の端に表示されるようになっていた。そこには,はっきりと測定速度141キロ、61キロ速度超過と表示されていた。
実際のスピードよりもだいぶ低めだったのでちょっと嬉しかったが、喜んでいる場合でもないという当たり前のことにすぐ気がついた。
多分、実際のスピードよりも測定速度を低めにすることで、ごねられて裁判に持ち込まれるリスクを低減しているのだろう。
朝比奈分駐所では調書を取られた。私は往生際悪く、後ろから大宮ナンバーのソアラに煽られたからだと言い張った(これは半分事実。煽られたあと煽り返し、ソアラが減速するのを勝ち誇った顔でぶち抜いたらそこには地獄が待っていた)。
しかしおっさんに、「そんな車はいなかった、いたら記録に残っている(何かノートに記録していた模様)」といわれてしまい、さらに説教された。
また、そこで赤い素敵な紙をお土産にプレゼントされた。(クリックすると拡大します)
そしてブルーな気分に浸りながら、朝比奈を後にして東京へと帰ったのである。<そして次なる悪夢が再び私を襲うことになるとは、その時点では全くわかっていなかったのである。